「より労働環境のいい職種を選ぶ傾向が顕著に表れる」当たり前じゃん

| コメント(0)


昨今の人手不足の一因には、長年の「サービス精神的なリソースのコストダウン」があるといわれている。職人芸を持つプロの人たちが、本来対価をいただくべきところをサービスとしてやっていたため、それが常用化してしまったため、その技術に関して継承するだけのリソースが用意されずに継承できなくなってしまったという話。それはそれで一理ある。ただそれって一因ではあるけれど全部ではないし、それが良くない話であると認識されているのなら、直していけば良いだけの話。

で、指摘の通り、労働市場の需給問題については......というか労働市場に限らず、「より労働環境のいい職種を選ぶ傾向」ってのは当たり前の話であり、なぜそれが良くないことのように表記されるのか、非難の対象的に扱われるのか、確かに首を傾げてしまう。


企業ってのは基本的に勝ち逃げの考えでの運用はやってはならず、ゴーイングコンサーン(永久に継続する)の考えで経営される必要がある。当然周辺環境も色々と変化していくわけで、その時その時に臨機応変に対応することも大切だけれど、今の状況が常に継続するとの前提で、体制をそればかりに一本化してしまうと、変化が生じた時に対応しきれなくなる。人材に関する起用方法の固定化は、まさに短期的な発想で中長期的な会社の体質まで変更してしまった副作用が出ていると考えれば道理は通る......

......ってこれ、アレだな。恐竜の進化と滅亡のプロセス(と言われているもの)に似てるな。進化論ってやつ? 特定環境に特化すると、その環境が変わった時に対応できなくなるというもの。で、人材周りの話に関しては、多くの指摘もなされていたし、人材の育成周りに時間がかかることってのはちょいと考えればすぐに理解は出来るはず。「無ければどっかから買ってくれば(=引き抜く)いいじゃん」ってのは、その状況に陥った時には市場そのものが不足状態にあるのだから、引き抜く余力そのものが存在していないという罠だったりする。

種をまいて育てずに果実が欲しい。でもその果実を得るのに必要な原資は、種をまいて育てないと得られない。ああ、これは論理的に無理がある。ちょいと考えればわかりそうなものだけどね。

人を育てることを軽視している、環境整備を怠ると、雇用市場が変化した時に、周囲がこれまでの行為をしっかりと見定めて、それに反応する。すき家のアルバイト募集が好例なんじゃないかな。仮に時給を3000円に上げれば人員は確保できるかもしれないけど、継続就労期間は大した長さじゃないと思うよ。言われているような労働条件が継続していれば、の話だけど。

......逆に、さ。これまで「本当の意味で」人材をしっかりと育てて、保護し、重視してきた企業は、今のような環境においては、むしろ大いに伸びるんじゃないの? 報道もむしろそういう企業を積極的に取り上げるべきじゃないかな。良い事例として。

関連記事             

コメントする

            
Powered by Movable Type 4.27-ja
Garbagenews.com

この記事について

このページは、不破雷蔵が2014年11月 4日 07:27に書いた記事です。

ひとつ前の記事は「慈善行為をアピールするのは偽善じゃない」です。

次の記事は「正直者がバカを見る環境ではヒヤリハットも重大事故も無くならない」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

* * * * * * * * * * * * * *


2021年6月

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30