"片手間主婦が気軽に参入してきて、お金より生き甲斐とかいうから、
相場が崩れてどんどん酷いことになっている" RT 『プチ起業、ママ起業が、非正規雇用の問題とつながっているということ』
⇒ http://t.co/PEVKUjWAso
— 本条靖竹@中二カノジョ販売中 (@yasutaketin) 2014, 11月 4
ネット広告によく使われる言い回し「こづかいかせぎ」「おこずかいをゲット」的な話の延長線上にある、ちょっとした、でもよく考えると多方面に影響が生じそうな問題。元記事では主婦の起業的なお話に留めてあるけれど、定年退職後のシニア層における低賃金での就業もまた、これとほぼ同列の問題に違いない。「生き甲斐」と「少々の手間賃、小銭稼ぎ」という視点では非常に似通っている。
要は「生き甲斐」という要素が多分に加わり、さらに通常の市場相場も知らずに、そして受注を第一に考えるためにダンピングが相次ぎ、結局のところ市場全体の相場が引き下げられてしまい、これまで仕事をしていたプロの人、専業の人への対価相場まで下がってしまいかねないというもの。プロへの支払いはそのままキープできたとしても、今後新たに足を踏み入れようとするプロ志望の人は、その市場における相場に絶望してしまいかねない。
これイラストやマンガ関係でもありそう。子育てが一段落した主婦のひとがイラスト・マンガの仕事を内職的にはじめるケースがあるから>RT
— 伊藤 剛 (@GoITO) 2014, 11月 5
「ダンナの収入をあてにできる主婦がプチ起業でダンピングと価格破壊を起こし、本当にそれで収入を得ている人の生活を破壊する」って話、自由度の高さを売りにしたMMORPGで生産オンリーでゲームしていこうという人がいなくなりどのゲームも狩りゲーになっていった歴史によく似ててつらい
— こなたま(CV:渡辺久美子) (@MyoyoShinnyo) 2014, 11月 5
「旦那の稼ぎのある主婦がライター仕事をダンピング」という記事がRTで回って来るが、半信半疑の方も多いと思う。ちなみにその手のライター仕事の相場は一万字で三千円程度である。少しでも文章を書いたことがある方なら、一万字書くのにどの程度の時間がかかるかは分かって頂けるだろう。
— 蝉川夏哉/逢坂十七年蝉 (@osaka_seventeen) 2014, 11月 5
400字詰め原稿用紙で、25枚。 結構な仕事量だが、これで3000円? これ普通のライターから仕事奪うことになるんだぜ? デフレ促進馬鹿は即刻滅びろ。 って言うか相場を守れ。
— 御神楽 舞 (@mikaguramai) 2014, 11月 5
例えば先日の当方の本家記事の【「今年は北海道も含めて数値目標なし、無理のない節電協力要請」...2014年冬の節電要請内容正式発表】。これが本文だけで文字量は大体5000文字。単に打ち込みだけだとしても結構な量。この量の2倍で3000円。もちろんデータを流し込むだけじゃなく、見直しチェックもする必要がある。ちょっとやってられない感。
もちろんこんな意見もある。
@tawuz @osaka_seventeen 雇う側からしたら、安いギャラで仕事を請けてくれる人の存在はありがたいし、雇われる方も、旦那の稼ぎがあるからギャラは安くてもいい「ライター」の肩書きで普通の主婦とは違うのよ、というプライドも満足できるし、というWin-Winかと
— Nosu (らきのす) (@luckynosu) 2014, 11月 5
@osaka_seventeen @CCCP1917 一介の素人である主婦に仕事奪われるライターって、それで飯が食える能力がある人なんでしょうか?
素人にはバイトで食いつなぐ劇団員とかと同系統の人に見えるんですが...
それか文才ある人が主婦に甘んじてたのが出てこれただけでは?
— へなへな (@XF999) 2014, 11月 5
それはそれで一理はある。ただし以前から何度も挙げているけど、対価ってのはその制作物に対する評価でもあり、対価相応の質しか出てこないのは言うまでもない。そしてアルバイトなりでは、何かトラブルが生じた時に、対応しきれるだけの責任力や力量を期待できない。つまりは保険に入っていないようなものでもある。つまりは焼き畑農業的なもので、雇い手側の「こんなもんでいいや、使い物にならなくなったら打ち捨てて、新しい低コストのモノを云々」という思惑が見えてくる。そこには中長期的な視点は無い。
......で。これって以前に触れた、【「より労働環境のいい職種を選ぶ傾向が顕著に表れる」当たり前じゃん】とまったく同じ構造なんだよね。
@XF999 ライターという仕事で重視されるのは文章力よりも知識と着眼点、面白さだと言われています。発注者の要求水準が下がれば、必ずしも造詣が深くなくても書けてしまう。長期的にみれば、全体の質の低下を招くと私は考えます。
— 蝉川夏哉/逢坂十七年蝉 (@osaka_seventeen) 2014, 11月 5
@XF999 @osaka_seventeen いち物書きとしての雑感ですが、ライターとしての仕事には自分の面目躍如というべき仕事と食って行くための雑文書きみたいな仕事があって、後者を利益度外視の人に奪われた結果、前者も成り立たない、ということはあると思います
— ユーリィ・イズムィコ (@CCCP1917) 2014, 11月 5
早くも同様の発想から、指摘をしている人も多い。
結局仕事ってのはどんなものでも一様に難しい、簡単なものってばかりではなく、色々なラインを複数まかされることになる。それが経歴、業績、技術の蓄積と共に、重いものを任される率が高くなる。例えば重鎮の人なら「重重重」、新人さんなら「重軽軽」という感じ。これがセットになって対価をいただける。新人も「軽軽」をこなしていくうちに技術を習得し経験を積み、「重」をより多く担えるようになる。
ところが今件の場合は、新人宛の仕事のうち「軽軽」の部分をお気軽なダンピング対象の人に割り振ってしまい、コストを安く抑えるようにとの思惑。新人さんを切れるから。「重」の部分が一つ余るけど、それは重鎮の人にやってもらい「重重重重」となる次第。
昨今の「お手軽お小遣い稼ぎ」「生きがい探しのお仕事」の類が増えるに連れて、既存の就業者の負担が増えるってのは、こういう構造になっているのも一因。そして当然、後続が育たない(何しろ新人さんを切っているのだから)ので、重鎮が居なくなれば業界は慌てふためくことになる。粗製乱造、すぐに切って捨てて成長などしていない、アルバイトレベルの技術者しか残っていないのだから。まさに今の人手不足の構造そのもの。
無論すべてがすべてってわけじゃない。けど、お金は大事。自分自身のためにはもちろんだけど、自分達の居る世界(業界)を維持するためにも重要。ある意味、スキルを持ち、あるいは継続して事業を成そうとしている人への対価は、その業界全体への投資でもあるんだよね。切って捨てることが前提のための捨て銭ではなく。
そのあたりを考慮しないと、上記のような事例や、近しいところではドッター周りの話のようなことになってしまうんじゃないかな。
コメントする