「即戦力となる人材を取れないなら、育てるしかない」それが当たり前なのですけどね......IT技術者:関西も不足 景気回復やシステム需要拡大 - 毎日新聞 http://t.co/wBXay0XLR5
— 不破雷蔵(懐中時計) (@Fuwarin) 2014, 11月 10
内定を出しても断られるケースもあり、「人材の奪い合いになっている」と嘆く。「即戦力となる人材を取れないなら、育てるしかない」と新卒採用を積極化するが、不足分を補えるか分からないという。
景気の回復基調に伴う人材不足については、本家サイトだけでなくこちらでも何度となく触れている。業種、業態、さらにはケースバイケースの事案もあって一概には言い切れないのだけど、少なからぬ......というか多くの事例で、本来企業が人材周りでやらねばならないこと「社内で育てて一人前にしていく」という人「財」育成の部分ががっつりと概念からこぼれ落ちている感が強い。そしてその基本部分を怠ったつけが出ている。
終身雇用制は多分に「企業内で人を育てて頼りになる人材を創り上げる」という仕組みと連動する部分がある。それが崩れているのも一因だけど、ヘッドハンティングをはじめとした中途採用ってのが、急場をしのいだりトラブルが生じた時の対処法だったものが、いつの間にかそれをメインにしてしまっている。
そりゃ一理あるよ、人材育成は時間もお金もかかるし、面倒だし、リスクもあるから。その部分をショートカットできれば、楽に違いない。でもその分、勤続年数は少ないから会社への愛着心も疑問符が生じるし、既存の社員も「自分を継続して雇って育ててもらえるのかな」という不安に駆られる。そして「誰がその中途採用の人を育てるの?」という話になる。
面倒な部分は他人に任せて美味しい所取り。それを皆が始めてしまえば、美味しくない部分を誰もやらなくなってしまい、需給バランスが崩れる。それは当然の話。まるで電力周りの「送電はお金がかかるし面倒だからイヤ。発電だけやってお金儲け。送電は他人任せ、ドヤァ」的な考えと変わらない。
「即戦力となる人材を取れないなら、育てるしかない」。この言葉がさらりと出てくる時点で、その企業の状況が推し量れる。普段からあるべき姿勢を取り人材を育てる体制を取らず、足りなくなって慌てても、それは自業自得。「景気が悪かったから仕方がない」。そうかもしれない。でもその不況がずっと続く、人材育成をしなくても済む状況が永遠に続くと思っていたのなら、単なる判断ミス、先を見通す能力に欠けていたとしか言えない。
農業だって豊作の時もあれば不作の時もある。ずっと不作じゃない。そして人は一朝一夕で育まれるものじゃない。足元を見渡す眼力は必要だけど、同時に先を見通す目も欠かせないんだけどなぁ。
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