発注者「簡単なアプリです」エンジニア「簡単か否かを決めるのはお前じゃない」

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発注側と受注エンジニア側だけでなく、同一社内の営業と開発という部門間でも生じやすいギャップのお話。はた目にはシンプルそうに見える、ちまたに沢山出回っているから簡便そうに見える、だから作るのも簡単だろう。作ってくれませんかと発注側は語るけれど、実のところ開発が簡単か否かを決めるのは発注側では無くて開発側。

数枚、あるいは数行の仕様での発注案件でも、いざ開発してみると山ほどのリソースを投入して数か月かけても終わらないという事案も山ほどある。プログラム、アプリ開発周りで分かりにくければ、料理などが分かりやすいかな。シンプルに見えるけど目新しくて美味しい料理。そこにたどり着くまでにどれほどの労力が投入されたか。

で。この類の話になると、大抵複数の「事案」が連鎖的に発生する。発注側がそのような思考、自分で「簡単」と思ったものは実開発でも簡単に違いないというポリシーを有しているから。


これは良くある話。そりゃ使い手側、利用者の説明書レベルの仕様では共通する部分が多いだろうけど。

さらにこの類の発注者の思惑は、得てしてこのような本筋だったりする。


最後の「次から次へと仕様を足してくる、変更する」ってのは、特に「俺様の天才的思いつき」のような考えを持つ発注側に多い。「思いついたんだけど、これ良くない?」的な。この流れって、ワンマン経営者がいる大手企業でもよくある話で、その観察眼が適切なものならまだしも、大抵においては独りよがりなものなので、現場は頭を抱えることになる。発注と受注・開発側との関係では【「岩石スープ」とはなんだろうか】でも解説した、「少ない対価で大きな利益」を目論む、あるいは無意識のうちに行っている場合も少なくない。そしてその場合、「岩石スープ」の手法を正しいと、当たり前のものだと思い込んでいるので、拒否をしたり追加リソースの要求をすると逆切れをするのが常だったりするんだよね。

これ、漫画家などのお話も含めて定期的に上がってくる......ということは、状況が日常茶飯事的な状態ってことなんだろうけど。数枚の完成予想図を提示して「こんな感じの家を創って。簡単でしょ?」と指図した上で、図版を引いて作り始めた後に、「僕の天才的な発想で、もう1階上の部屋を作って」とちゃぶ台返しをするようなもの。

まぁ住宅周りの話は極端な例かもしれないけど、スマホ関連のアプリ市場がかなりカオスな状況になっていることもあり、この類の無理難題、「簡単でしょ」「それを決めるのは貴方じゃない」的な話は、これからますます増えて来るんだろうなあ。例えば「艦これみたいな戦車戦ゲーム作って。すでに実物が例にあるから簡単でしょ?」みたいな感じで、さ。

少なくとも発注側には、開発側の実態を知ってもらいたい......ってこれはアレか。【自分の目の前にあるものがすべてではないことを知る】の話にもつながるのか。

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このページは、不破雷蔵が2014年11月12日 07:45に書いた記事です。

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