「オレンジジューステスト」という手法による見分け方

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あなたが、全国の営業部員が一同に集まる宴会を企画しているとしよう。 宴会場のチーフの適正を見極めるのに使うのが、オレンジジューステストだ。


「我が社では宴会の最初に、出席者全員で搾りたてのオレンジジュースを飲み干す伝統があるのです。提供していただけますか?ちなみに、人数は500人。ジュースは搾って1時間以内。1人当たり400CC」などと、無茶な要求を出してみる。ちょっと想像すれば分かるが、「ひたすらジュースを搾るアルバイト」を大量に用意しないと、この要望には答えられないはずだ。

a)宴会場チーフが「そんなの造作もありません。お任せ下さい」と言ったら失格。
⇒事の難しさを理解するスキルがなく、後でギブアップする可能性が高い。
⇒または、搾りたてではないジュースを出してごまかすかもしれない。

b)「そんなアホな企画はやめましょう。ウチの自慢の地ビールはいかがですか?」
と言ったら失格。
⇒どんなサービスを求めているか、を決めるのは、宴会場チーフではなく、お金を払うお客であるべき

c)「出来ると思います。ただし、費用が○○円ほどかかるでしょう」と言ったら合格


先日の【発注者「簡単なアプリです」エンジニア「簡単か否かを決めるのはお前じゃない」】で寄せられた意見の中で、聞きなれない言葉があったので調べたところ、結構面白い話だったので覚え書きも兼ねて。どうも原典部分から尾ひれはひれがついて詳細部分が随分と違っていたり、自己解釈を加えてドヤ顔説明をしているけれどよく読んだらちゃぶ台ひっくり返しじゃんそれ的なものがあったりなどがあるけれど、大体はこの形に集約されている。

要は需要の内容をガッツリとつかみ、その需要に的確に応えられる供給を無理なく正直に、そして誠意あるように回答できるかという話。それを先の「簡単アプリ」話に適用しようではないかというもの。

「簡単なアプリです」ってのは「簡単に創れるものだからリソース少なくてすむよね、短時間で作れるよね、だからコストも低く抑えられるよね、なのでこれぐらいしか対価は用意できないよ」を意味する。もちろんその後に具体的な話としてこれこれこういうものを作ってほしいとの説明があるのだろうけど、その具体的内容に基づいて出来る出来ない、出来るならばどれ位のリソースが必要になるってことを回答するのが筋なんだろうな。

ただここで「簡単か否かを決めるのはお前じゃない」が出てくるような、ユーザー側が想定しているコストを超えるような算段を呈した場合、ユーザー側はどのような反応を示すことになるのか。元々「簡単なアプリです」と提案の前提に出している時点で、試算の類が出来ないか、大した対価は払わないとの腹積もりかどちらかであることがほとんど。即断で試算は難しいだろうけど、与えられた仕様に対し、「オレンジジューステスト」におけるC)に該当する、正しい見積もりを出したところで、逆切れするか「じゃあいいです」って感じなんだろうな。

そもそも「オレンジジューステスト」はユーザー側が、サービスを提供する人たちの腕前を試すためのもの。今回の元記事では「簡単なアプリです」と呈した時点で、ユーザー側が見積もり周りの上で素人の類であり、サービスを提供する人たちの腕の精査をできるレベルのものでは無いと思うのだけどね。

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このページは、不破雷蔵が2014年11月13日 06:24に書いた記事です。

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