日高屋とちょい飲みと・外食産業よもやま話

| コメント(0)

【2014年10月度外食産業売上マイナス1.2%...季節外れの相次ぐ台風上陸で客足大きく減退】

「安く飲むなら居酒屋」という常識が変わりつつある。これまで食事をする場所だった外食チェーンが「ちょい飲み」に続々参戦しているからだ。早くからアルコール類の売り上げ増に取り組んできた日高屋は「ちょい飲み」チェーンの先駆者的存在とされる。神田西口店の店先のショーケースには生ビールやハイボールなどの食品サンプルがズラリと並び、とてもラーメン店には見えない。

先日本家サイトに掲載した10月分の外食産業周りの業績精査記事。先月同様洋風ファストフードと居酒屋がナニで、吉野家の吉呑みが結構ステキやんという話をした際に、似たようなスタイルでむしろ日高屋の方が先行しているという話をちらほらと。自分の記憶では日高屋ってラーメン屋っぽい中華料理店だった記憶が......ということで調べ直してみたらあら不思議。2年ほど前からお酒やそのおつまみにも重点を置き、「ちょい呑み」需要を一気に集めているそうな。上に記したのは今年度の業績推移だけど、去年も似たような感じでかねがね良好。

類似パターンで伸びてきた店舗としては、天丼てんやも挙げられる。

ワンコインで天丼を提供する「天丼てんや」は近年、ちょい飲みメニューを拡充させてきた。運営会社であるテンコーポレーションの用松靖弘・代表取締役社長に、同社の経営戦略について聞いた。


「都心の駅前は賃料も人件費も高く、すぐに収益的に厳しくなります。そこで24時間営業の牛丼チェーンなどと比べてどうしても弱かったアフター5のてこ入れ策として「ちょい飲み」できるメニューを打ち出しました。結果として夕方以降はもちろん、昼の時間帯でもお酒を注文するお客様が増えました。もともと、てんやは60歳以上のお客様が全体の3割以上を占めていて、これは外食チェーンで最も多い部類に入ると思います。」


考え直してみれば、居酒屋も日高屋のような中華料理店も、天丼てんやのような天ぷら屋さんも、出されるメニューに大きな違いは無い......というか類似性は高い。そして居酒屋というと一度のれんをくぐると数千円がぱっと財布から出てしまう、そして場合によっては注文してもメニューがなかなか来ないといった、値段相応とは言い難いイメージが強い。

無論居酒屋の方も色々と切磋琢磨努力はしているんだろうけど、そのイメージ、さらには実態はなかなか改善できず、客足を遠のかせ、より気軽で金額的な調整がし易い店に流れてしまったと考えると、昨今の居酒屋不調と、類似外食店の「ちょい飲み」施策の導入、そして成功も納得がいく。味の上でも「いつもの」ってことでお気軽さがあるし、ね。

居酒屋離れの原因として、以前「内食」「中食」や、類似外食のファミレスに流れたのではという話をした。しかし今回色々とチェックし直してみると、それよりもむしろ、この類の「外食店による『ちょい飲み』として提供された場」にシフトしたと考えた方が、道理は通る。居酒屋よりも敷居が低い立ち飲みが流行ったことも合わせて考えれば、なるほど感もある。

まぁ実際、居酒屋常連客の動向を追いかけたわけではないので、本当に居酒屋から外食店のちょい飲みスタイルにシフトした否かは分からないのだけど。今の「ちょい飲み」店の盛況ぶりを見た上で「そのお客はどこから来たのだろうか」と考えると、あながち間違ってはいない気もする。

関連記事             

コメントする

            
Powered by Movable Type 4.27-ja
Garbagenews.com

この記事について

このページは、不破雷蔵が2014年11月26日 07:21に書いた記事です。

ひとつ前の記事は「フィルタリングにお構いなく表示されるエロ広告は滅すべし、慈悲は無い」です。

次の記事は「マクドナルドと禁煙施策と「顧客が本当に求めていたもの」」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

* * * * * * * * * * * * * *


2021年6月

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30