↑ 労働力人口と就業者
先日の本家サイトの記事【正規・非正規就業者数の詳細をグラフ化してみる(2014年)(最新)】を執筆する際に、データを色々と探したり裏付けを取るために複数の調査結果をウィンドウ上に同時展開し、そのデータでちょいと覚え書きをしておいた方がいいだろうなというタイプの値があったので、即興でグラフ書き。昨日ツイートでまとめたものだけど、テキスト部分で粗が目立つので、文章は生成し直し。ちなみにこれらの人口はすべて15歳以上が対象。
最初のグラフは労働力人口と就業者。労働したい人のうち就業出来ているか。この差が完全失業者。就業者数が落ちているのは2008年秋のリーマンショックが原因。その後低迷したままで推移、2012年末まで継続。雇用側のキャパシティはリーマン以降低迷したままだった次第。世界経済そのものは少しずつ堅調さを取り戻していたけれど、日本は追随できなかった次第。
労働力人口もじわりと下がるが、これは人口そのものの減少よりも、就業をあきらめた人(非労働力人口に属する)が増えているのが主要因。2013年に入りようやく就業者数が増え、労働力人口も増える、つまり就活しようとする人が増えた次第。
↑ 完全失業者数推移
このグラフは完全失業者数推移。金融危機ぼっ発(いわゆるサブプライムローン問題の露呈化)以前は漸減していたものが、ぼっ発以降は横ばい、リーマンショックで思いっきり上昇し、あとは漸減。これだけを見ると、雇用市場はリーマンの嵐以降、少しずつ改善しているようにも見えるけど......
↑ 非労働力人口推移
非労働力人口の推移をみると、一概にもそうは言い切れないことが分かる。この非労働力人口というのは、病気やケガ、育児、高齢化などで労働を望まない人に加え、就職できずに就活しない(諦めた)人も含まれる(「隠れた失業者」などの表現で、2009年あたりに、当時の政権与党だった自民党へのバッシングネタとして使われた)。これは2007年夏の金融危機ぼっ発以降漸増。リーマンショック以降はやや上げ幅を積み増しするけど、こちらも2012年末には頭打ち。以降は漸減。つまりこの頃から非労働力人口側に居た、「就活諦め」な人が再び就活に参加したことになる次第。
要は、金融危機とリーマンショックで減った就業先に対し、最初は就活で何とか就職しようとしていた人たちが、次第に諦め、労働力人口から非労働力人口に移行。結果として失業率は下がる(失業率は労働力人口で換算されるから)。その後、2012年冬以降にようやく就業先が増え、非労働力人口側に居た人が就活を始め、就業者数を押し上げたことになる。
完全失業者数そのものはリーマン後の影響がもっとも大きく出た2009年7月の364万人を頂点として漸減しているけど、一方でいわゆる「隠れた失業者」は増大していたわけだ。もっともこの「隠れた失業者」も減少しているのが現状。 この「隠れた失業者」については本家記事の【完全失業者に含まれない「仕事はしたいが求職活動はしなかった」人の推移をグラフ化してみる】も参考の事。
ツイートした後にこんなレスをもらったけれど
@Fuwarin 大雑把に言うとこんな感じですかね。
リーマン直後→労働力人口減少・完全失業率増加
民主党政権→労働力人口減少・完全失業率減少
安倍政権→労働力人口増加・完全失業率減少
— 吉崎理絵香(雲龍Lv98轟沈ふぁしすとー (@Fascist_n) 2014, 11月 30
政策が変わってもそれが雇用市場に影響を及ぼすまでにはタイムラグが生じることが多い。リーマンの時も、ショックそのものが起きたのは2008年9月だけれど、実際に失業者がもっとも多くなったのはその翌年の夏。だから一概には言い切れないのだけど、過度の円高やら海外の市場相場動向と照らし合わせると、起因的には大体あっているという感じかな。
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