"「手間を減らす」というのは文字通り人の手から仕事を減らす"

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先日の【「漫画やゲームは全部無料にすべき」、それは超ブラック企業的なものを意味する】へのレスポンス的なお話。個人的には「無料万歳、作り手の労苦など知ったこっちゃない」の増幅傾向と、元々そのような考えを主張・所有する人が一定量存在し、それが露出される機会が増えただけ、の双方のパターンによる結果が現状だとは思っているのだけど。ネットの普及により意志疎通が容易になったことで、その部分があちこちに広まり、しかも作り手に直接届くようになったのが、昨今の問題の一つのポイントだと考えている。

意見がある人は具体的に声を挙げるけど、意見の無い人は具体的行動は起こさないからね。「そう思わないクリックががしがし付いてた」とあるけど、それを遥かに凌駕する人が、そう思う......という意見だったという感はある。でも「そう思わない人」が体現化することで、具体的に見えてしまい、恐怖となる。10万人の支持者がいるっぽい雰囲気があっても、100人の声高な反対者が居れば、怖さを覚えて頭を抱える。

だから逆に、その部分を割り切ってしまえば、ある程度このタイプの話はスルーが出来る。ネットスラング的には「お前が思うのならそうなんだろう、お前の中ではな」的な感じで。ただ、無料が大義、的な話が広まり主流となると、それはそれで問題には違いない。

一方、これに絡んでのやり取りで、興味深いいきさつも。結局この部分も、人の成す事と対価に係わるお話ではあるのだけど。


これ、実は非常に鋭い部分のお話。技術の開発や進歩、工夫が積み重ねられることで、必要なマンパワーは減ってくる。新たな行程が生まれてそれに携わる人が必要になるけれど、同じ創生物を得るために必要な総計のマンパワーは減る。だからこそ同じ頭数でもより多くの、幅広いモノを作り出すことが可能になる......のだけど。見方を変えると、同じ創作物を生み出すのなら、頭数は少なくて済んでしまう。残りの人は手持無沙汰、職を失ってしまう。

技術進歩に伴い生じる、必要な頭数の減少に対し、新しい分野の技術開発や、創作物そのものの量の生産量拡大(≒消費先の市場拡大)で、必要な頭数を維持するのが、これまでの手法ではあったんだけど。新分野の技術開発がスローダウンし、大量生産・大量消費的な方向性も頭打ち。でも技術はボンガボンガ進歩していく。となれば、労働者としての頭数は少なくて済むので、失業者が増えてくる。先進国共通の先進国病の一つ、若年層の高失業率は、これが主要因だったりする(高齢化に伴う「後がつかえている」のも大きな要素ではあるけれど)。

"「手間を減らす」というのは文字通り人の手から仕事を減らす"。覚えておきたい言い回しではある。

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このページは、不破雷蔵が2014年12月16日 07:48に書いた記事です。

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