「監視」が仕事の仕方にもたらす悪影響。
"特に懸念されるのは、従業員が本当にすべき仕事をせずに、端末の活動量計に評価される仕事ばかりをするようになるという事態だろう"
→ウェアラブル端末で従業員の「働きぶり」を監視する企業が急増中 http://t.co/u9RqBQltR8
— Yasuaki Madarame (@madarame) 2015, 1月 5
ポケベル、PHS、そして従来型携帯電話からスマートフォン、さらには最近トレンドと成りつつある腕時計型の総合情報端末の普及浸透に伴い、持ち手の行動の把握が情報として統括出来るようになった。当然、管理する側としてはその情報を有効に扱いたい。企業は従業員の怠慢をチェックし、より効率的に業務を遂行できるようにしたくなるのは当然の話。外回りの営業さんが喫茶店で安穏としていると、「なぜこの喫茶店で1時間も移動せずに居たんだ?」と後で上司からツッコミが入るような、近未来のビジネススタイル。
例えば健康管理の点では、この類の端末は有効に活用されるだろう。また、大規模災害が発生した際には端末を被災地域にばら撒いて装着してもらい、各種情報の配信や管理などを行うことで、誤情報による混乱を防ぎ、スマートな施策を遂行できるため、損失を最小限にとどめる効果が期待できる。
一方で、指摘の通り装着中はずっと監視されることによるデメリットもある。監視され続けていることで緊張感が連続することにより、短期的には集中心が高まるものの、心理的に過負荷がかかる可能性がある。かつては電子メール、今はソーシャルメディアで問題視されている、「即時返答を求められる緊張感による疲労」ってのは、誰もが経験はあるはず。いわばずっと対面しているようなものだからね。
さらに見た目の良さを注視するあまり、仕事をするのではなく、仕事として端末に評価されるようなことへの行動がメインになってしまい、仕事そのものの効率が落ちかねないというもの。個別評価・成果主義が過度に持ち上げられたおかげで、人材育成や後続する人たちへの技術伝承、新人育成といった、すぐには数字が出てこない、つまり評価されないけれど、企業全体としては中長期的に見れば絶対に欠かせない職務がおろそかになり、人材が育たなくなった、若年層が敬遠するようになったってのは、良い例ではあるかな。要は中長期的な視点でモノを考えさせないような体制となってしまう可能性がある。
元々の職務がそのような体質のものならそれでもいいんだろうけど、それに該当するものはさほど多くはない。個人的には「疲れるからこんなの要らない」という感想に尽きるのだけどね。新人研修などでは有効だろうけど。
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