ピカソがタダで買い物をすることが出来たテクニックとは

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これは小切手文化が多分に浸透している欧州だからでの話でもあるのだけど。著名になったピカソは小切手で買い物をするようになったが、小切手というのはその受取人が銀行に持ち込み、書かれた金額と換金してもらうことで、はじめてお金として使えるようになる。銀行側は小切手に指定されている当座預金口座から、指定額を引出し、小切手を持ち込んだ人に手渡すという次第。無論、小切手そのものが銀行に持ち込まれなければ、口座のお金はそのまま。

ところがピカソの場合、自分がサインをした小切手は「ピカソのサイン付き」ということで皆が換金せずに手元に残すことを知っていた。つまり小切手がそのまま商品として通用し、換金されないため、自分のサインを小切手の額面で売った形となった次第。結果として小切手を使って買い物をしても、それ自身が新たなお金的なものとして使えてしまい、ピカソの懐は痛まずに済み、お金はたまるばかりとなった......という話。

生前のピカソは、日常生活の少額の支払いであっても、好んで小切手を使ったという。なぜか?実は、次のようなカラクリがあったのだ。


まずピカソは、当時から有名であった。その彼が買い物の際に小切手を使えば、それをもらった商店主は、小切手をどのように扱うだろうか?ピカソは次のように考えた。商店主は、小切手を銀行に持ち込んで現金に換えてしまうよりも、ピカソの直筆サイン入りの作品として部屋に飾るなり、大事にタンスにしまっておくだろう。そうなれば、小切手は換金されないため、ピカソは現金を支払うことなく、実質的にタダで買い物を済ませることができる。

ピカソは、自分の名声をいかに上げるか、のみならず、それをどうやってより多くのお金に換えるか、という点についても熟知していたのだろう。これは現代の金融でいえば、信用創造、"キャピタライズ"の考え方である。


引用元にはワインのラベルの話もある。こちらも非常に興味深いので、それも合わせて全体の一読をお勧めしたい。要はお金以外の価値を自分が見いだせることを知り、その換金方法を熟知しており、巧みに使いこなしたという次第。著名人でも自分のサインや作品を直接「高名だから値が張るよ」的に売るとなると、色々と葛藤が生じるかもしれない(最近ではファンディングを用いて、それに近い形ができるようになった。これはこれで面白い傾向だと思う)。しかし小切手を使うのなら、普通の商取引に違いなく、サインをする側は何の気兼ねも要らない。小切手をサインの色紙的に保存するのも、換金するのも、受け手側の自由判断。

この発想の素晴らしさは大いに見習いたいところだね。......自身の人生にどのような形で活用できるかはまだ未知数だけど(笑)

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このページは、不破雷蔵が2015年1月12日 08:06に書いた記事です。

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