ロシア: 油価下落のロシア経済と石油生産に及ぼす影響
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JOGMECが今日出したレポート。まとめると、
1,ロシアは石油減産しない。技術的な問題から、減産するとしても新規投資の制限で時間をかけて生産量を抑制するため。(続く)
(続き)2,Rosneftは生産コストが4ドル/バレル、Lukoilは損益分岐が25ドル/バレルなのでまだ耐えられる。
3,税制の関係で原油価格値下がりのダメージは企業より政府の税収に響く。
4,保有外貨は政府系ファンド込みで4000億ドル程度。サウジほどでは無いが立場的に近い。
— 林司 (HAYASHI,Tsukasa) (@Archangel_HT) 2015, 1月 19
・11月27日のOPEC総会の直前に開かれたロシア、ベネズエラ、サウジアラビア、メキシコとの会議の後、Rosneftのセチン社長は原油相場支援のための減産を行わないと明言した。
・Rosneftにおける原油生産コストは$4/bblで、サウジアラビアとほぼ同等の水準である。Lukoilの損益分岐油価は$25/bblと極めて低い水準で、ロシア石油企業は低油価に対しては耐性がある。
・ロシアの多くの石油企業は2015年も計画通り事業を行う予定で、これには北極海での超長期事業も含まれるが、シェールオイルのようなコストのかかる事業に関しては停止する。
・ロシアの税体系は石油企業にとっては「重税」であり、油価下落は政府税収の大きな落ち込みとなるが、石油企業にとっては大きなものでなく、2015年事業を縮小する動きはない。
・ロシアのSWF(予備基金および国民福祉基金)を含む外貨準備高は約4,000億ドルで、サウジアラビアの$5,328億には及ばないが、基本的にはロシアとサウジは近い立場にあると言える・
・2014年に実施されたロシアの石油税制の改革は、段階的に輸出税を引き下げ、生産税を引き上げるもので、ロシアによる原油輸出を抑制するインセンティブはない。
・2003年にサウジアラビアのアブドラ皇太子(当時、現国王)がモスクワを訪問し、ロシアは対OPEC協調を表明した。以来、ロシアはOPECに協力する政策をとっており、今回のロシアの動きもその延長上にある。
独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構による、2015年1月19日に発表されたレポート。これ以外にも興味深いレポートがざくざくと掲載されているので、
OPECとシェールガスのチキンレースという表現を以前したけれど、他に例のISISの資金源を締め付けるという意味合いもあるとの解説を先日見聞きした。不法に採掘して闇市場的な所に流して資金源とする際に、国際レートが低ければ当然売上も減る。間接的な兵糧攻めという次第。これはこれで確かにOPEC側にしてみれば一理はある。 何にせよ原油価格が低迷し続ける状況は、まだしばらく続きそう......というよりトレンドが転じて再び上昇する、という材料が特に見つからない。多分に一部の意志によるものだから、一度転換が決まれば、スピード感のある上昇が示されるのだろうけど。
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