アンソロを電子書籍化して好きな作家さんの漫画だけ選んで買えるようにしてください、割とマジで
— nino (@ninouchiirazu) 2015, 1月 22
先日の【雑誌掲載後に単行本化されない可能性と、読者側の「雑誌」か「単行本待ち」かの判断と】ともちょっと関係してくるかなあ、という話。アンソロってのはスターウォーズに登場する主人公の一人......ではなく、アンソロジーコミックの略で、大本は短編や読み切りの組合せによる出版物。最近では一つのテーマ、特定の漫画やゲーム、映画、小説などをモチーフにした各種パロディや創作的な短編・中規模編的なものを、複数の作家によって描いてもらって集約するタイプのが多い(要は二次創作ってやつ)。最近では「艦これ」などがよく知られているかな。
それ同人誌やん、というツッコミもあるけれど、商用誌であり、モチーフ側の許諾を得ているのが最大の特徴。まぁ最近では境界線がいくぶん曖昧になりつつあるけど......。元の作品を出した企業の出版部とか、作品そのものと深いつながりがある出版社とか、あとは四コマ漫画雑誌を出している出版社が結構展開している。
で、それらのアンソロの特徴の一つは、多様な作家先生による作品がごっちゃ煮状態で入っていること。いわば幕の内弁当みたいなもの。多数の作家に一度に発注してざっと集められるので短期間に出版できること、多種多様な切り口を提供できること、多くの作家に機会を与えられることなどが理由......というところかな。まぁ、定期発刊雑誌と事情は似ているけれど、一つのテーマに絞ったというのが大きな違い。時々そのようなタイプの雑誌が出ることもあるけれどね。歴史ものとか料理とか。ただそれは元となるテーマが別の原作にあるというわけじゃないので、アンソロとは呼びにくい。もっとも、ガンダムやブラックジャックのような例外もあるけれど。
ともあれ、そのアンソロにおいて「色々な作家の作品が読める」ってメリットは、見方を変えると「好きな作家の漫画だけが読みたいのに」という需要には応えられないことをも意味する。幕の内弁当じゃなく、バイキング料理が食べたいんだ、という感じ。気持ちはよくわかる。当方もそう思うもの。
でもそれではアンソロの事情の一つ「短期間に出す」(何しろモチーフ側の作品が旬の内に出さないと以下略)ってのが果たせない。よもや小冊子や同人誌のように、16ページ、32ページ単位で商業誌を出すわけにもいかない。固定費を考えると採算が取れない。だったら電子書籍で配本して、小分け売りも出来るようにしたらどうかという話。
いいかもしれない。
これ、ぶっちゃけるとアンソロだけじゃなく、電子化かが進んでいる雑誌にもいえること。連載中のあの作品だけが読みたい、他のは要らないって結構あるよね。
でもそれだと、人気のあるなしでセールスに大きく差が出てしまい、ますます過当競争が激しくなり、本当に人気のある作品以外に日の目が当たる機会が無くなる。色々な作品がごっちゃに入っているものを手に取り、読み返していくうちに「あれ、実は面白いカモ」ということもあるからね。また、単行本(の電子書籍版)も売れなくなってしまう。
お弁当屋さんの事情で考えれば理解できるかも。お弁当屋で各種惣菜コーナーだけで良いってわけではなく、色々なセットのお弁当が発売されているのはなんでだろう。惣菜単体で購入すると、固定費などが上乗せされるので、どうしてもちょいとばかりお高めになる。また、人気があまりない惣菜はほとんどさばけず、採算性だけを考えたら種類が非常に限られたものとなってしまう。
まぁ、以前は切り売りそのものが技術的に困難だったので考える必要も無かったのだけれど、電子書籍が今後さらに浸透すれば、アンソロの事情も少々変わってくるかもね。もう少し小さな単位での販売が行われるとか、さ。
個人的には同人誌レベルの数量で、アンソロを商業誌的に出してもいいとは思うのだけれど......って、それアレか。ウェブ漫画ベースですでにやってるのか(笑)。
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