電子書籍のもう一つのメリット、「需要がある」ことを出版社に、作者に伝えられる

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現在の電子書籍の仕組みは「購入」と銘打っておきながら電子書籍データの購入が出来るわけでは無く、閲覧権利の購入でしかない点は色々と長短所合わせて考察されるべきであろうし、技術の発達により手元にデータが残る、本当の意味での「購入」が広く普及するといいなあとは思っているのだけれど。

現行の電子書籍は多分にそんな感じで貸本屋の入場券と特定書籍の閲覧権を購入する形ではあるんだけど、それでもなお、古本で本を購入するよりは遥かに良い点が、ここで指摘されたお話。古本の場合は再利用扱いになるので、製作サイドにお金が一円も回らないだけでなく、その本が古本として手に取られたという需要を確認する事が出来ないのが問題となる。

企業体から発刊される本の場合、どれだけ需要があるのか、読者がついているのかは、今後の方針に大きな影響を及ぼす。読者がついてこなけゃ連載打ち切り、単行本化すらされず、下手するとその出版社からお払い箱になるかもしれない。ところが古本で調達されると、自分が読者であることが、企業や作者には伝わらない。

電子書籍の場合は、安売りされても昔の作品の再販的なものでも、それこそ無料閲読サービスの際に権利購入がなされても、「読者だよ」という読者としての存在証明を企業、作者に確実に伝えることができる。これはかなり大きい......と考えると、昨今よく見られる期間限定の無料閲読サービスの類も、サービスの利用誘引の他に、リサーチを兼ねているんだろうなあ、と思ったりもする。価格の調整をするだけで、貴重なサンプルデータが得られるのなら安いものだ。


ちなみにここでも何度か取り上げた「セールスの際の作者に渡る印税はどうなるの」の件について。結局出版社によってケースバイケースということらしい。今件では「販売価格」ベースなので、値引きとか無料の場合は対価は相応に減額されてしまうような雰囲気。ただ、それによって読者の数が把握でき、あらたな企画が通ったりすれば......と考えると、難しいものがある。そもそも無料化した際に大量に利用者が増えるようなコンテンツなら、元々人気があり、通常価格でもそれなりに需要はあったはずだから。

もっともこの辺りは色々と分析が必要なんだろうな、とも思う。具体的データが開示されないので分析出来ないのが残念だけれど。

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このページは、不破雷蔵が2015年2月19日 06:22に書いた記事です。

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