漫画の世界の「常識」の変化をコミュニケーションツールで知る

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歴史ものや未来、SFの世界を舞台にした作品はともかくとして、一般の漫画、特に四コマ漫画は現在やそれに近い時代を題材にすることが多い。世界観に違和感を覚えさせることなく、現実との一体感や「あるある」感を覚えさせるのが作品の引き込み方としては分かりやすいからね。必然的に漫画などに登場するさまざまなシーンでは、読み手の現在と同じような社会が描かれることが多い。「いつもの街中」との前提で描かれているシーンに、ごく普通に戦車が走り回っていたり、宇宙人が闊歩していたり、半裸の男女がごく普通に挨拶を交わしていたら「なにこれ」とか思うでしょ?

見方を変えれば作品内に登場する細かいシーンなどは、今現在の日常と違和感が無いような描写が求められる。つまりそれなりの配慮を持つ、設定に気遣いをしている作家の作品なら、その辺りもしっかりと盛り込まれている。なんていうかな、漫画である以上フィクションなのには違いないのだけれど、その中においてもリアリティを覚えさせる、読んでて作品の中の描写で「え?」という違和感で引かせることの無い描かれ方が出来るか否かが、その作品の魅力の一つだと思っている。簡単にいえば「設定厨」みたいなもの。他にも「各人物が活きて動いているような描写、止め画では無く映画のワンシーンのような観え方が出来る描き方」なんてのもあるけど、今件では話からそれるので省略。

で。

この携帯電話の描写についても、色々となるほど感がある。4コマ漫画雑誌の感想でもちらほらと書いているけれど、漫画の中の登場人物は大体中学生から高校生、よくて大学生から20代位まで。その世代に従来型携帯電話やスマートフォンがどのように浸透し、ツールとして使われているか、その変遷の片りんを知ることが出来る。ちょいと前なら従来型携帯電話を持っていること自体が珍しかったのに、それが当たり前になり、少しずつスマートフォンを持つ人が増え、購入できることがステータスとなり、さらには皆が集まって手元のスマホを出してやりとりをしていくのが当たり前となる。作品によって時間軸や取り扱われ方が異なるのでさまざまだけど、雑誌全体の時系列でみていけば、確実に浸透していく様子が分かる(その観点では「氷室の天地」は逸品。ちゃんとした時系列の考察が成されていて、携帯電話を使うシーンはあっても、従来型携帯電話が使われている。スマホが普及し始める直前の時代を取り扱っているから)。

それはつまり読者にとって、そして描かれている登場人物の世代において、それが当たり前であることを意味する次第。そしてコミュニケーションツールの進化発展は加速度的。上記ツイートで頭を抱えている通り、描かれた当時は最先端でも、あっという間に廃れてしまう可能性が高くなりつつある。物語でもトリック系では多いよね、「携帯電話がありゃ、そんなの一発で暴露できるだろ」的なものって。

ざら先生はこれから連載を始めることになると先日公知されている。その作品の中で電話などがどのような描写をなされているのか、それも楽しみだな。

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このページは、不破雷蔵が2015年3月 7日 07:11に書いた記事です。

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