農水省の「食料輸入が止まっても芋を食えば大丈夫」的な話のあれこれ

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先日から少年犯罪の凶悪化の話とか、自転車事故の件数問題、乳児の事件の話もあわせ、何度か解説している印象論的なものが先行している事案が多い。先日もベースアップの話を分かりやすく噛み砕いで例え話で説明したところ、罵声を浴びせられる事案が発生し、「都合が悪いのだろうな」的な印象を持ちつつ、なんか奇妙な雰囲気があるよなあ、と思う。震災後の「声高にさけんでいれば中身はどうでもよく、浸透できる」という思惑が薄く広まっている、そんな感触。

で、今件も間接的にはちらほらと目に留まっていたのだけれど、また一部界隈でネタ的に騒いでいるのかなということでスルーはしていた。けれど、ツイッターのタイムライン上であまりにも多く出て来るので、ちょいとチェックを入れる事にした次第。そもそも芋が云々ってのは随分と前から語られていたはずで、今件はそれの繰り返しじゃないのかな、と想い、発端となる報道を調べたのが、上のお話。

そして一次ソースをたどると、自分の考えはすでに農水省側で成されていたというか、自分がトンチキな考えをしていたことが分かり、ちょいと恥ずかしくなる次第。


要は前政権党時代に50%に引き上げられた食料自給率の目標値がどうも無理っぽいので45%に引き下げる(元に戻す)のと共に、単純なカロリーベースの現在の自給率換算だけでは現状にそぐわない部分が多いので、色々なケースを想定してそれぞれの場合における生産能力の試算を行い、「食料自給力指標」なるものを算出し、物差しとしようよ、というもの。その中の想定の一つに、「化石燃料などは備蓄されているという前提で問題なくこれまで通り使える。食料のみが輸入できなくなったらどうするのかな」という状況を設定したまでの話。農水省の管轄内での話なので、経産省や外務省などが絡んでくる部分は試算が難しいから、とりあえずその部分はこれまで通りでやってみるよ、というもの。

実際には完全輸入閉鎖の可能性もあり、その場合には食料だけでなく燃料その他各種資源もストップしてしまう。また、特定農産物のみの輸入が滞るリスクもある(国単位、地域単位の輸入停止、あるいは特定産物の不作)。戦略物資としての食料に関するリスク勘案をするのには、多様な想定の上での試算と、それへの対処策定が必要なのだけれど、今件はあくまでも農水省の管轄内での、しかもそのうちの一例に過ぎない。

むしろ目的は、「食料輸入が途絶えるような状況が万一起きた場合でも、苦渋の選択をすればなんとかなる」「けれど現実問題としてこれはありえないから、様々な手立てを打つ必要があるよね」という問題提起のための指標作りみたいな話。実際、農業人口の漸減で国内の農作物生産量が減る事への懸念も、今件指標策定の理由の一つにある。

例えるなら一時期流行った「生活レベルを江戸時代ベースに戻せば電力需要量は超減らせるよ」みたいな話。思考ゲームとしてはありで、その話を元に色々と考えるのは良いけれど、現実にそれを求めるための話では無い。あくまでも検証の上での素材作りをしましたよ、ということ。


あのような新聞記事の書き方や、その後の情報の広まり具合を見ると、内容をしっかりと読んでいない、むしろ意図的なミスリーディングをして火をつけて炎上具合を楽しんでいる感は否めない。本質部分が非常に大切な内容であるだけに、この類で色々とかきまわされてしまうのは、あまり好ましい状況ではないと思うのだけれど。

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この記事について

このページは、不破雷蔵が2015年3月19日 07:35に書いた記事です。

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