「不本意331万人、非正規の悲鳴」という記事にかつての派遣村を思いおこさせる

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先の「足るを知る」の話もそれっぽいんだけど、統一地方選挙のような選挙が近づくと、この類の「現状をとにかく叩く、煽動する」的な記事が増えてくる。で、幸いにも(!?)非正規周りの話は昨年末に色々と騒がれた際に複数の実データを検証したので、書かれていることが正しいのか、社会全体を示しているのか、それとも煽り的なものなのかを精査し、確認するだけの材料を手元に用意する事が出来た。で、ツッコミをまとめてオーサー解説コメントとして挙げようとしたら、掲載できないタイプだったというオチ。ちょっと悔しいのでテキストを残しておいて、こちらに再編集して掲載という次第。

「非正規雇用の拡大」の件はヤフー個人ニュース「なぜ非正規社員として働くのか、その理由とは」でも説明しているけれど、多分に定年退職及び早期退職制度を利用して退職した、高齢層が非正規として再雇用されたのが原因。単年の状況で確認しても、男性若年層では2013年から2014年にかけて正規雇用者は127万人から132万人に増加している。そして経済の健全化の過程ではまず非正規が増加し、その後正規が増加する傾向にあり(これは雇用する側の立場で考えればすぐにわかる。以前解説もした)、また高齢者の再雇用も合わせ、何らおかしな話ではない。

記事中で「非正規拡大は悪しき」的な論調があるけれど、特異な事例をいくつか挙げて、それを全体像のように見せるのは、この類の全体的な問題への指摘としては、あまり良く無い切り口。そして数年前の派遣村騒動で、各報道が使った手口でもある。

さらにそれを正すならば、先詰まりを起こしているともいえる高齢雇用者を退職させ、再雇用せず、若年層の雇用枠を拡大すべしとの論調につながるのだよね、ぶっちゃけると。それを
意図しているってのが分かってるのかな。

また「正規が無いから仕方なく非正規」の具体的世代別人数では、男女とも中堅層が多分を占めている。元記事の事例の通り、一度退職して再雇用を図る場合だから、よほど求人側の要望にあった人材でない限り、就職が難しいってのは昔も今も変わらず。今件記事が果たしてその意図に気が付いているか、気になるところ。

いい加減、こんな感じで数字を中途半端に出して、印象論での叩きはおやめになられた方がよろしいかと思うのだよね。「不本意331万人 非正規の悲鳴」云々って、数年前の派遣村をはじめとした、派遣叩きの時とまったく同じ手法で、もう飽きた感。もっと大局的に問題を考え、必要ならば改善の道しるべを示すって形でないと、報道の意義も存在価値もごりごり削るだけだとおもうのだけどね。

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このページは、不破雷蔵が2015年4月 6日 07:22に書いた記事です。

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