米マクドナルド、直営店の平均時給を約10ドルに引き上げ(ロイター) - Yahoo!ニュース http://t.co/XDSYjm8LuW
— 不破雷蔵(懐中時計) (@Fuwarin) 2015, 4月 2
先日ロイター電で伝えられた米マクドナルドの時給...賃金では無くて時給と表記されていることから、恐らくはバイトが対象なのだろう...の引き上げが行われるとの話。ただし記事全文を読めばわかる通り、これは直営店のみ。全体の9割を占めるフランチャイズ店舗は、それぞれ独自で賃金などが設定されるので、今件の話からは対象外となる。
で、この記事の「解説」として、日本のマクドのバイト時給の平均額を提示し、それを現在のドルベースで換算して比較し、さらに円高時のレートと比較して、円高時は日本が上、現在は日本が下なので、「日本は円安によってこれだけ購買力が落ちている、つまり貧乏になっている事を認識すべきでしょう」と占める文章が掲載されていた。思わずコーヒー吹いた。昨年末の「ドルベース換算をしたらGDPで日本は数年前が超絶経済活性化状態にあった」という、某代議士の問題発言が脳内を駆け巡る。
日米のマクドの時給をドルベース換算で比較して、円安時はスゴイ、円高時はダメだ云々という話。これは正しい見方ではない。以前注目を集めた「ドルベースでGDP換算をして国内経済動向を比較することの愚挙」同様、アルバイトの賃金をそのままドルに置換し、その上で「だから日本は購買力が落ちた、貧乏となった」とディスるのは、大いに誤った考え。アルバイトの稼ぎと、国外での購買力を比較しても意味がない。いわゆる「マクドナルド指数」的なものと、円高・円安を結び付けて、今の日本のディスりトレンド、円安バッシングのネタとして使おうとした雰囲気が強いのだけれど、余りにも論理がこじつけすぎて、ざっと読みしただけでも首を傾げる人が多かったはず。
GDPのドルベース換算問題でも触れているけれど、購買力やら貧富云々を語る際には、その実態、実用例が前提となる。マクドでバイトをして賃金を受け取る人が、その大部分をドルベースで消費するのなら話は別になるけれど、ほぼ全額を円で利用する以上、わざわざドルに換えて計算する意味が無い。
時給700円とかの超絶円高不況時代に「やあ、君の時給はドルベースだとこんなに高いよ、日本の購買力はこんなにすごいんだよ、良かったね」と説得されて、理解や納得、頷ける人がどれだけいるか、それにどこまでの意味があるのかを考えれば、理解はできるかな、と。
ここはむしろ「日本のマクドナルドも厳しい状況に違いありませんが、同じように賃上げが成され、現場スタッフの士気向上に寄与するような施策が取られる事を望みたいですね」とすべき話。百歩譲って日本と比較するにしても、現状レートで比較した上で「日本の方が安く見える」「本文にある通り大部分はフランチャイズなのでケースバイケース」などと解説するのが本来の姿で、ここでいきなり円高時代の話をひっぱり出してきて、円高万歳、円安だと日本は貧乏云々と明後日の方向に話を切り出す意図が良くわからない。それに今気が付いたけど、円高の時の日本のマクドの時給、900円じゃないだろ。
FPの肩書を有している人の発言なだけに、ちょっと残念感を覚えざるを得ないよなあ、というのが正直な感想ではある。
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