「やらない後悔よりやった上での後悔の方がいい」が全てってことは無くて......

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某アニメ・小説の朝倉さんの名セリフ「人間はさあ、よく『やらなくて後悔するよりも、やって後悔したほうがいい』って言うよね」とか、数年前の「一度やらせて下さい」を思いおこさせる話ではあるのだけど。とにかく何もせずにもじもじしている、頭の中で考えのみをぐるぐる駆け巡らせるよりは、やりたいことをやって、その上で後悔した方が、どちらを選んで後悔するにしても、やっただけの価値はある......ということになる。

でも指摘された上で考え直すと、その「とにかくやってみて後悔しろ」ってのは、万能の方程式とは言い難いなという感を抱くようになった。同時にすでにそれを多分に実行していることも理解したりする。

大よそ「やらずに後悔するよりはやって後悔した方がいい」に当てはまるのは、やって後悔した方が期待値が高いため。例えばタダでくじを引けて、1/2の確率で100円がもらえるとしたら、やらない場合はゼロ円だけど、やった場合は期待値は50円となる。要は発生確率と、発生した時のコストやメリットをかけて、平均的にどの程度の損失や利益が発生するかを数字化するという考え方。

ところがやって成功すれば自分の益になるかもしれないけれど、同時に大きな損失が自分自身、あるいは周囲に発生するかもしれない場合、期待値計算は大いに重要視される。くじの例なら、1回引くのにかかる金額が自分の手持ちの全額である60円だったらどうだろう。100円が当たるかもしれないけれど、外れればゼロ円。期待値は50円。この場合はやらない方が良い......でも「もし当たれば100円になるし」という誘惑が、つい期待値を無視した行動に走らせる。100円あれば好きなアイスが買えるとしたら、「やらない後悔よりやった上での後悔の方がいい」とばかりにくじを引いてしまうかもしれない。この辺りの考えは、ギャンブルと同じだね。期待値計算をすればどれも手をつけないはずだけど、もしもを想定して、「やった上で後悔した方がいい」と自分に言い聞かせてしまう。

もちろん、世の中で遭遇する選択は多分に、数量的に明確な判断が出来るわけでは無い。それに感情と願望と妄想も多分に判断の天秤を左右させる。それでもなお、選択において、やらない後悔とやった上での後悔、どちらを選ぶか決める際に、期待値という概念を頭に入れておくだけで、随分と人生の過ごし方は楽になる(感情や願望まで変数化できれば、もっと便利になる)。

例えば消費期限切れの大福があるとしよう。これを食べるか否か。食べれば100円分を捨てずに済むし、お腹もふくれる。でも食べたことで腹を壊すかもしれないし、その結果薬を服用したり、病院に足を運んだり、一日何もできないような状態に追い込まれるかもしれない。目の前の大福を口にするか否かは、その発症リスクと100円分のロス、どちらを選ぶかってことになるんだな。これが消費期限を1か月も過ぎ、あちこちに傷やカビのようなものが見えていたら、発症リスクはグンと上がる。でも数時間前に期限が切れたばかりなら、リスクは随分と低い。このような計算をするクセをつけておくと、色々と役に立つと思うよ。

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このページは、不破雷蔵が2015年4月 3日 08:22に書いた記事です。

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