「スマホやめるか、大学やめるか」信州大入学式で学長が迫った、という話

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「スマホやめますか、それとも信大生やめますか」。信州大の入学式が4日、松本市総合体育館であり、山沢清人学長は、8学部の新入生約2千人に、こう迫った。


山沢学長は、昨今の若者世代がスマートフォン偏重や依存症になっている風潮を憂慮。「スイッチを切って本を読み、友だちと話し、自分で考える習慣をつけ、物事を根本から考えて全力で行動することが独創性豊かな学生を育てる」と語りかけた。


新年度に入り各会社や大学で、トップの方による訓示が行われ、時としてその内容が報じられることになる。その中で、先日ちょいと話題に登ったのが、この信州大学の学長による訓示。昨今ではスマホの利用が高校生・大学生では当たり前となる中で、このタイトルと、「迫った」という説明に、そりゃもう大騒ぎ状態。


高校生ですら9割超がスマホ持ち。新大学生に持つな止めろってのは無理だろう......と思ったけれど、同時に違和感。学長が語ったとされる内容は至極当然。スマホだけに偏るな、対人直接対話を軽視することなく、自分で考える機会を設け、創造性を養えというものだし。もしかしたら本当には語っておらず、意訳したのかもしれない。ということで調べてみた。


テレビCMのパロディかもしれないけど今の新大学生には通じないかも、スマホを使っている人すべてが依存症になるととらわれるかもしれないので迂闊かもという指摘もあったけれど、そこまで考えたら何も語れなくなる感も否めない。

ともあれ、長野日報の記事の限りでは、学長は例え的なもので語ったものであるのは明らか。また、懸念されているようなスマートフォン利用のしすぎで色々と弊害が出ているってのは多数の調査結果で明らかにされているし、それを懸念しての意見であることも理解できる。さらにいえば本当に強圧的な形で使用を禁じるのなら、校則レベルで利用を差し止める話になる......が、同大学でそのような規則が設定されたという話はとんと聞かない。

その後さらに調べていくと、よりによって朝日新聞の長野総局が今件学長の語りに関して、詳細にその内容をツイートしていたことが判明した。


このツイートは時間を確認しても、明らかに最初の掲載記事より前。この内容を読んで大意を把握できていれば、あの記事のような主旨が「分かりやすいかもしれないけれど、主旨的にはあさっての方向を向いている」まとめ方の報道記事になるはずはない。しかし実際にはあのような煽り口調の内容となってしまった。なぜそこまでしっかりとテキストで記録が出来ておいて、あの記事として仕上がるのか。極めて疑問。語った文言自身は正しいが、切り貼りで主旨が脱線したまま、まさに揚げ足取り的なもの。まぁ、釣りと表現してもいいのかな。

その後色々と問題が生じていることを認識したのか、5日の午後4時過ぎに、学長の全文が朝日新聞にも掲載された。普通はこんなこと、ないんだけどね......


一連の流れは【入学式のご挨拶】のページで遠からず先日の学長の訓示分が掲載されるはず(記事執筆時点ではまだ2014年分のまま)。

確かに言った言葉自身に間違いはないけれどもね。切り貼りしたり、変な説明を付けて煽ったり。どう考えても全体像から見れば異なる解釈をしてしまうような書き方をしたり。

さらにいうと、この朝日新聞の記事だけを読んで、その内容がアレだったものだから、各方面で「スマホやめるか、大学やめるか」とはよろしくない、今の情報化社会ではスマホは必要不可欠だ、的な主旨の論説、さらには信州大学の姿勢を叩く記事が複数か所で確認できる。ただ、それらの論説って、「スマホは大切、必要不可欠」という形でその便宜性、情報取得の大切さを主張力説しておきながら、その実態として、情報の確からしさ、精査の必要性の点でヘタを打ってしまっているという自己矛盾が体現化されるという、頭を抱える事態が生じてしまっている。

どうしたもんだか......。

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このページは、不破雷蔵が2015年4月 6日 08:03に書いた記事です。

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