小3の娘が外出時に「ビフテキを食べたい」と言うので、「どこでそんなことばを覚えてきたか」と驚きました。聞けば『あさりちゃん』第1巻とのことで、納得。今の若い人で「ビフテキ」と言う人は少ないでしょう。どのあたりから「ステーキ」に移行したのでしょうか。
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2015, 4月 9
室山まゆみ『あさりちゃん』第1巻(連載1978~、単行本1980)を読むと、「ビフテキ」以外にもいろいろと当時のことばが拾われて興味深いです。現代語研究のために100巻を大人買いしましょうか? いえ、調査の暇はなさそうです。 pic.twitter.com/J85gS3TW0o
— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2015, 4月 9
先日のテレビや電話の話などにもある通り、日常生活の上で必要不可欠な耐久消費財も進化変遷が著しく、それに係わる言葉の言い回しもどんどん変化して、世代間のギャップが劇的に表れるようになっている。当方が定期的に四コマ漫画誌を購読しているのは、もちろん漫画が好き、好みの作家の作品が掲載されているからってのもあるのだけど、もう一つの理由として「日常生活に密着した作品が多い」「語られているライフスタイルが掲載時の社会を反映していることが多い」ってのもある。携帯電話周りは特に劇的な変化が見られる。
今件は先日ようやく完結した「あさりちゃん」に絡んだ、時代の流れと社会の変貌、言葉の変化を認識させられるもの。それぞれの回が掲載された時の社会一般にマッチした描写がなされるから、連載が長期化するに連れ、社会の様相も大きく変化することになる。作品内の時間そのものは止まっていることが多いので、いわゆる「サザエさん現象」が発生するんだけどね。
漫画を読んで「ビフテキ」という言葉を知ったってのは、やはり保護者にとっては衝撃的な話に違いない。いわば古書に目を通して歴史的な言及をしたようなものだからね。
そして昔の日常社会の慣習に基づいて書かれた作品は、連載が長期化すると単行本に収録されれば、時を経ても一気に読み通すことが出来る。似たような現象は例えばジャンプの「亀有公園前派出所」にも見られるんじゃないかな。
以前「BL本も100年経てば歴史書になる」的な話をしたけれど、漫画も100年経てば立派な社会風俗学の研究書になるんだろうな、と思ったりもする。SFとかはまた別だけど、日常ものを描いた作品は、その観点としてだけでも長期連載化の意味がある......と想ったりもする。
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