「嫌いなマヨネーズの山盛りでパワハラ」に見る、大手新聞のタブロイド紙化

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 同本部によると、39歳の消防司令補は昨年4月から10回にわたり、同じ係の男性消防士(28)が嫌いなマヨネーズを弁当に山盛りにかけて無理やり食べさせたほか、14回にわたって頭や腹部、すねなどを殴ったり蹴ったりしたという。また47歳の消防司令補は、39歳の消防司令補に指導と称して消防士に暴行するよう指示したほか、自らもすねを蹴ったり、消防士の腕時計を壊すなどしたという。昨年12月、消防士から上司に申告があり発覚した。

構造的には消防士へ消防司令補が直接、あるいはその上の消防司令補の命を受ける形で、消防士にまさに言葉通り「殴る蹴るの暴行」を繰り返しており、その後消防士から二人の司令補を飛び越す形でさらなる上司に申告が成され、事態が発覚した、と。

小山市消防団本部の処分発表で「パワハラ」との表記が使われているか否か、一次資料がネット上では確認できないので判断はできないのだけど(他報道ではその文言は使われていない)、今件のタイトルを目にすると、何だかちょいとばかりこっけいそうな内容に読めてしまう。でも実情はこんな感じで、単なる悪辣な暴力行為。またこれを「パワハラ」で絡めてしまい、問題を軽視するかのような表現ってのは、正直どうなんだろうかという感じがする。

消防士に成された行為としては、どれほどマヨネーズが嫌いだったとしても、暴力行為の方が上になるのは誰の目にも明らか(アレルギー体質で、マヨネーズを食べると身体に拒否反応が起きるというのなら話は別だけど)。またマヨネーズを暴力行為と同等回数やったのならともかく、少なくとも伝えられている限りではそこまでの回数とは読めない。主従関係からしたら暴力行為がメインになる。また、一次資料に「パワハラ」の文言が使われていたとしたら、今件をパワーハラスメントのくくりで評してしまうのも疑問を呈する。

確かに「消防士への上司から相次ぐ暴力行為発覚、懲戒処分へ」では、ごく普通の事件としてのみ認識されることだろう。それよりは「パワハラ」という今トレンドのキーワードを用い、さらに「部下の嫌いなマヨネーズ山盛り」として意外性のある事件を演出している。でもそれは今件事案のメインの事象だろうか。

同事件を扱った他報道でも、「部下に「大量マヨ弁当」の完食強要 小山市消防本部、司令補を停職処分」などのように、マヨネーズの強制完食を前面に押し立てる伝え方をしている。でもパワハラ云々なりマヨネーズなりをメインとすると、事件そのもの主旨があさっての方向に行ってしまっている、本質からそれている気がする。先日の朝日新聞の信州大学長訓示記事問題と似たような、タブロイド紙的な、というか悪質系まとめサイト的な体質の香りを、強く感じざるを得ない記事に違いない。

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このページは、不破雷蔵が2015年4月13日 07:43に書いた記事です。

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