職種によるでしょうが、私のところは「前にも言ったよね」は禁句です。
特に、新人さん新入りさんに使うのは厳禁。
わかるまで何度でも聞くのは新人の仕事で、それに応えるのが指導の仕事。
徹頭徹尾「見て覚えろ」なんて言うのは、職人ぶりたい半端者の自己満...とされています。
— 松乃雪 (@pso2tmg) 2015, 4月 16
当人もケースバイケースと前置きはしているけれど、十分に納得してしまうお話。上司なり経験者はこれまでの長年に渡る蓄積や経験などを経て、対象となる技術を身に着けている。また周辺環境のあれこれも見知っているので、似たような技術ならば一度や二度で習得するのも難しいことではないかもしれない。要は体がある程度その環境、職場に適応している。
しかし新人はまだその環境に慣れていないし、当然技術を身に着ける姿勢が出来ているわけでもない。そのような状態で一度伝えてそれで覚えれば御の字だけど、たとえその言葉を覚えていても記憶の引出しにぶち込むのが精いっぱいで、適切な場面で引き出して活用できるためのインデックス化(整理してラベル貼りをし、すぐに出せる状態)はされていない。慣らしが必要で、それまでの間は何度も繰り返して質問し、理解し、確認する必要がある。
例えるなら大振りの刀を持たされて持ち方や振り方を一通り教われば、翌日から一人前のようにその刀を振り回せる......わけでは無いってこと。見聞きしたことを前提に、身体自身がその刀を振るための適切な姿勢や持ち方、バランスなどを覚えるまで繰り返し訓練し、あるいは再確認する必要がある。言葉で認識したとしても、それを理解できているとは限らない。何度も繰り返し尋ね実践してはじめて、その言葉が内包する意味が分かることもある。言葉だけでは語り切れていない部分も多いし。でも教える側は自分自身がすでに理解した上で言っているので、すぐに分かるはずだと判断してしまう。そこが怖い。
もちろん教えられる立場にある人も「まぁ、わかんなかったらまた聞けばいいや」とラフな姿勢で臨んでいると、結局「また後で覚えれば良い」との意思が前面に出てしまい、いつの間にか覚える事そのものを無意識のうちに避けてしまうことになる。可能ならば忘れにくいようにメモを取り、少なくとも集中して耳を傾ける。
要は教える方は何度でも繰り返し教示する。教わる方は真剣な姿勢で臨んで覚えようと努力し、分からなかったら何度でも質問する。その時、自分自身でも考える余地があれば考えることで、より深く自分の技術として刻み込めるようにする(単に教わるよりは、自分で考える≒自分で成し遂げることの方が、記憶に残りやすい)......という辺りかな。まぁ考え直してみれば、ごく当たり前のことではあるんだけど。
やってみせ
言って聞かせて
させてみせ
褒めてやらねば
人は動かじ
なんつー言葉を残してくれた先人は偉大だぁなぁ
「やってみせ」で止まらず、一歩踏み込んで「言って聞かせて」まではやれるけど、「させてみせ」で見ちゃいらんないと手を出し、「褒めてやらねば」の代わりに貶し、「人は動かじ」を自分の責任だと思わない。そんな上司や先輩がいたら反面教師にしてがんばってほしいものです新人君。