今更だけど「医者は金儲けのために患者を薬漬けにしている」系のトンデモ本を書きまくって儲けているセンセイへ。薬を沢山処方しても勤務医の給料は全く変わらないし、DPC・回復期・療養とかだとマルメだから薬代は病院負担。勤務医なんぞの給料よりあんたらが貰える印税の方がはるかに高いってば!
— あえて言おう! (@kasudearuto_) 2015, 4月 15
患者を薬漬けにしても勤務医が儲からないことなんて百も承知の上でトンデモ系の本を書きまくっているセンセイ方もいるだろうから、読者のほうに理解してもらいたいものである。
— なとろむ (@NATROM) 2015, 4月 19
ちらほらと書いているように当方は以前入院を経て現在でも治療通院中の身にあるため、統計的、数理的、情報収集の観点から医療方面のデータを精査することがある。そしてそれを記事にすることで、色々と反応もあり、その中の一つに挙げられるのが「医療は金儲けの為だけに患者を犠牲にしている」というお叱りのご意見。
そりゃ全員が聖人では無いし、日本は資本主義社会だから、金儲けを優先している人もゼロとは言えないだろう。教育者の中にだって「結婚相手を探すために女子高に赴任した」と豪語する、そして実際に結婚している教師もいるほどだ(高校時代にそんな先生がいた)。
で、実際の所、そのような話が流布され、医学界、医療関係業界全体がそのような雰囲気に包まれているという信奉が成されることで、誰が一番儲けを得るのか。それを考えれば、トリックはある程度分かるはず。まぁ、いわゆる恐怖・煽動商法と同じ。
読者にウケるのは「医者の陰謀で薬を飲まされてる」説でしょうからねえ。
出しても儲かりません。
出し過ぎると怒られます。
不用意に出すと保険使えないよと言われて医療機関側に負担が生じる事もあります。
つまり、「必要最低限の薬を出しておくのが一番経済的」です。
— KGN (@KGN_works) 2015, 4月 19
で、金じゃなくて手間はどうなの?という観点からはどうなるか。
たくさん薬を出すと、飲み忘れ・二重服用がより多く発生しますし、薬の相互作用のリスクが上がります。食の細い人だと、ご飯食べる気力が無くなります。
→病気が治らず他のトラブル発生
治す手間がかかるだけ。
— KGN (@KGN_works) 2015, 4月 19
医師は統計学(に基づいた疫学)も参考に治療法を選択しているはずで、必要に応じて患者にも説明するでしょう。具体的な数値を挙げる医師もいらっしゃるのでは。"@tubupoko: "何パーセントは治るからやってみます"、なんてえ医者はいないでしょうが。そういうものを"治療"と称して"
— akimi_o @名古屋 (@akimi_o) 2015, 4月 19
あえて倫理観を横に置いて話をしてみても...
仕事で治療行為を行う以上、余計な治療を必要とする状態になるのはこれ、誰にとってもいい事ないんですな。
要らん薬を「盛る」ってのは、単にリスクを増やすだけの行為です。
— KGN (@KGN_works) 2015, 4月 19
要は薬の大量投入をしても儲けが云々ってことは無い......というか副作用を考えたら、ね。まぁ、陰謀論に頼った方が世の中面白おかしく生きられるのだろうし、「自分は悪の意識に操られた人たちと戦う、正義の獅子だ」的な考えが出来れば、英雄譚の主人公みたいな気分になれるから、それはそれで楽しい人生の過ごし方かもしれない。でも他人に迷惑をかけるのは止めてほしい。それこそ「チラシの裏にでも」というもの。
昔、アヤシゲなサプリについて説明する時に作った画像ですが。
統計に慣れてない人でも、こうやって表を書いて考えるとすぐ「あやしいなあ」と思えるようなものは『統計の嘘』じゃなくて『ただの誤魔化し』。統計の出番すらない代物です。 pic.twitter.com/0xYF7tXkg7
— KGN (@KGN_works) 2015, 4月 19
@KGN_works 「統計のウソ」や「儲けるための陰謀」をもちだす患者には数式のみで説明します。わかんないときは「次までに調べておいてね。」とやさしく微笑みます。大体何も言わなくなるか来なくなります。
— taka (@omfs12000) 2015, 4月 19
うちの親族が手術や化学療法に望んだときは、手術そのものの成功率(手遅れの可能性)の%や、薬を使用すると再発の可能性は何%くらいである、とかちゃんと家族も含めて説明されたけどな。>RT めんどくさがりの医師もいるかもだけど、「教えてください」って言えば教えてくれるんじゃないかな。
— 田口たつみ (@tag_tatsumi) 2015, 4月 19
当方がこの方面の問題に敏感になっているのは、最初に書いたように自分自身の実体験もあるけれど、加えて統計的なデタラメやら情報精査の上で問題となるようなことを平気でやらかしている場合が多々あるから。上に指摘されているのが一例ね。調査対象母集団が書かれてないとかさ。
先日触れたがん治療の件が良い例だけど、100%確実なものなどありゃしない。母数が増えればイレギュラーも増える。その部分を抽出して全体を否定し、二分法の罠を使ってトンデモ理論に誘導したり、煽動を行って恐怖心をかきたてさせ、信者を増やすってのは、まさに悪質な宗教と何ら変わりはない。薬の件一つをとっても、問題があるのなら個々のケースで問題提起をすればいい。
なんで悪の組織を創り上げ、カッコイイ俺様を演出したいかな......ってそうした方が著書も売れるし引っ張りだこになるし、雑誌の表紙にも載るんだろうな。
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