ライター稼業のギャラが安くなっているという話

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需要と供給の原則の観点から考えれば、文章を供給する側となる書き手のハードルが下がって数が増えているのだから、文章を買い取る需要側は選べる選択肢が増えるわけで、コスト面だけで考えれば相場は落ちて当然......という経済原理を盾に、別におかしいところはないじゃん? というツッコミがある。

一方で【量産システムと職人芸、二者択一では無いし、どちらかのみが必要ってわけでもない】でも指摘している通り、量産ベースの品質後回し的なもので良いものもあれば、品質を維持しなきゃダメだろ的なもの、双方の必要性はどのような状況にも存在しているわけで、絵にしても文章にしても、埋め草的に素材が用意できればいいってのならコストはいくらでも下げられるけど(それこそ以前伝えたような、半自動化したって良いわけだ)、それを使っていると品質そのものが劣化してしまうよね、という感は否めない。そういうもので構わないとの読者側からの要望もあるのは確かだけれど。

それこそ記事を原稿用紙でしたためていた時代と比べれば、確かにハードルは落ちている。さらに文章公開の場も増え、自分でHTMLをしたためねばいけなかった時代から、ブログ、さらにはソーシャルメディアの普及で、誰もが自由に文章を書いて世に知らしめることができるようになった。投稿作品を集約して披露するポータルも増えている。一億総記者、総ライター時代、みたいな。

......ってこともあるからなのだろうな、価格破壊が酷いのは。

他にも価格破壊的な理由はあると思う。文章が満ちあふれているから希少価値性が薄れている。買い取りをする側の予算の都合がある(買い取り当事者の認識の問題か、あるいはその上の予算配分の立場にある人の考えの問題か......)。


これは以前にも触れた気がするのだけど、文筆や絵師の仕事に限らず、クリエイティブな立ち位置にある人たちへの評価って、一番シンプルで確実なのは「対価」なんだよね。買い取り側が買いたたくってことは、その程度しか評価していないことでもあるし、見方を変えるとその程度の質のものしか手に入らないことになる。買いたたきはコストダウンにつながるかもしれないけれど、結局自身の首を絞めることになる。そう、【値切りをして良い相手としてはいけない相手】の値切りをしてはいけない相手に該当するのだな。

また、創作者側が対価で生活を維持できないとなれば、元々資産を持っているなど何らかの形で生活の手立てがない場合は、その創作から離れるか、他の職で食いつなぐ必要がある。前者の場合は新たな創作が世に登場することは無くなるし、後者にしても確実に創作物の生成ペースは落ちてしまう。適切な対価の支払いってのは、その創作に対する間接的な投資にもつながる。買いたたきが何を意味するのかってのは、ちょっと考えれば良くわかる話ではあるのだけどね。まぁ、この辺りはソフトのコピーとか個人誌の不法アップロードにもつながる話ではある。

そろそろこの界隈でも、脱デフレって動きが生じても良いと思うのだけどね。

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このページは、不破雷蔵が2015年5月12日 07:34に書いた記事です。

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