大阪の選挙、いわゆる「大阪市における特別区の設置についての投票」に関するあれこれ

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先日大阪市で実施された、特別区を作るか否かを決める住民投票。その結果自身はもとより、投票内容に関して魑魅魍魎......と表現しても良いような論説なり意見記事なり妄言が飛び交っているので、公的データを元にちょいといじって見た話とか、その他いろいろと覚え書きも兼ねて。まぁ、ぐだぐだした話が出ているのは、多分にテレビの出口調査の結果が独り歩きしているのと、結果内容を半ば悪用してる筋が話を広めている感が強いのだけれど。


各区住民の収入や資産、就業状況、持家比率などを抽出できればまた別の、相関関係への推測ができるのだろうけど、とりあえずすぐに取得できた住民基本台帳のデータを元にした精査を。やはり棄権票が多く、賛否は容易にひっくりかえせる可能性があったってのと、各区の年齢階層別構成比率と投票率や賛否率を比較すると、投票率そのものにあまり相関関係は無いけれど、投票した人のうち反対率が高い区では高齢層が多い傾向がある。具体的データは出ていないけれど、「年齢階層別投票率は、高齢層の方が少し上」「年齢階層別反対投票率は、それなりに高齢層の方が上」という推測が出来る。

で、その推測が出来るデータが出ている上で、投票者の賛否が僅差だったということは、もう少し「賛成票を投じる可能性が高い」若年層(これは高齢層の方が反対票を投じている可能性が高いという上記推論から導き出されるもの)の投票率が高いものとなれば、違った結果が出る可能性はあったな、という感じ。


こんな指摘もある通り、やはりテレビ報道で伝えられた出口調査の結果が独り歩きしている感があるのだよね。あれはあくまでも「実投票をして」「聞き取り調査に答えた」「少数サンプル」の結果。サンプル数はそれなりに十分だろうけど、果たして全地域を網羅して実投票の状況が反映されるようなものとなっているか否かまでは、広まっている画像だけでは判断が出来ないし......。


当方は図版の仕切りが下手なのと、図を使うと地域的なフィルタがかかりやすい(分かりやすくはあるけれど、正しい状況を見間違うリスクも生じる)ので避けたれど、これは結構興味深い。当方のグラフでも多くの地域が投票数のうち賛成票数が5割前後であったことからも分かる通り、かなり均衡した状況で、どの地域が明確にこちらサイド、あちらサイドって色合いは無い。ましてや南北問題やら格差云々ってのは無い。


言及すべきことは大よそ上で触れた通り。浮き彫りになった大阪の「南北格差問題」という主張はあるけれど、それって語り手が勝手に彫って浮かしているだけみたいな感じ。住民投票結果から見えるものという感じで色々と斜め上な評論が展開されているけれど、「お前がそう思うんならそうなんだろう お前ん中ではな」レベルでしかない、というのが率直な感想だったりする。いずれもそれなりに、特定方面では権威を持つ人たちの語りであることから、頭が痛い......と思ったら、それぞれの記事のコメントに相応なツッコミが入りまくってて、やはりなあ、という。

分かりやすいと正しいは別物よ。そして今件ならば賛否を問う対象となる政策そのものへの個人的な感想と、選挙の結果自身やその結果から推測できる状況の分析は別物。ごっちゃにしてしまうと、精査にバイアスがかかってしまうのだよね。ましてやそれをネタに、自前の布教したい心境を混ぜ込んだり、叩きたい対象に話をシフトするなど問題外、という次第。

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このページは、不破雷蔵が2015年5月19日 07:57に書いた記事です。

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