遠藤周作が「文章力の修行にいい。電車の中でも出来る」と言っていたのが「オリジナル形容詞」。「終末を語る預言者のような顔で乗ってくる塾帰りの中学生」とか「路地裏のゴミ箱から嫉妬だけ集めて煮込んだような週刊誌の広告」とか、目に付くものにオリジナルの形容詞を作ると文章力が向上するそう。
— たられば (@tarareba722) 2014, 7月 9
一時期流行った架空戦記小説ではよく見受けられた表現で、特に佐藤大輔先生などはこの描写を得意とすることで知られている(「とても払いきれない負債を押し付けられた保証人のような表情」が好例)、オリジナル系の形容詞。それを頭の中でどんどんと創生して、文章力の修行にしようという話。要は単なる事象や物品の表現に、直接思い浮かぶ一次的形容詞ではなく、何かに例えたような、しかもその例えが情景をイメージさせるようなものを使ってみようというもの。
例えばカラス。黒いカラス。直接その黒さからイメージされる「ニンジャのような黒装束を身にまといその所業により人々が恐れる有様もさながらニンジャのような」的なものですらなく、「人の罪を洗いざらい暴くその有様はまるで死神のような、ゴミ回収場にたむろするカラスたち」とか。
もちろんレスの指摘にもある通り、この類の表現は一歩ノリが出てくると次々に暴走気味な描写が生まれ出てくるために、下手をするとオリジナル形容詞の方がボリューム感があり、形容する対象がかすんでしまうこともある。そして中二病的なものとなってしまうこともある。上の例でも文面の至る所にこんな描写があると、かえって文脈がかすんでしまう。
まぁ、読み手にその情景を思い浮かばせる手法としては有効に違いは無いし、発想力の訓練との観点でも素晴らしい手法ではある。ただ、実際に文面に使う際には、過度な多用は控えた方が良いかもしれない。
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