地震などの災害があった時にメディアが注意しなければならないこと

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先日の地震では起きていた人が多く、プライベート時間としてまったりと過ごしていた、インターネットにアクセスをしていた人も多かったことから(実際、一日の間でもっとも個人目的でネットが利用されているのは夕食以降就寝時まで)、多種多様な情報が即時にネット上に提示された。そしていつもの通り、それらの情報、写真などの中にはフェイクだのパクリだの過去の写真の使いまわしだの盗用だのが相次ぎ、どれが本物かニセモノか分かりにくい状態に。一部大手メディアでは、昔の写真に釣られたとの話もあったけれど、これは確証が持てないので留保。

それはさておくとして。

ダイナミックな、状況をリアルに覚えさせるのが目的で、視聴者投稿による映像や画像を使う事例が増えている。当然、撮影手段を誰もが有して、一億総カメラマン時代となったからに他ならないのだけど。でもこれって指摘の通り、大きなリスクをはらんでいる。

ツイッターや掲示板などで釣り情報・盗用情報を流す人の多くは、自分をアピールしたい、有名になりたいとの願望を強く有している。本当なら自分自身が手に入れた情報でそれが果たせれば一番なのだけど、出来ないので気軽なパクリツイートなどをするわけだ。で、そのような願望を持つ人は、実際に今件の地震をはじめとする自然災害や事故現場などに遭遇すると、「危ない」「逃げなければ」との本能的な行動意識よりも、「シャッターチャンスだ」「目立つ材料がゲットできるかも」の意識の方が強くなってしまう。ましてやテレビや新聞が積極的に視聴者提供の素材を使おうとし、ツイッターで掲載した直後にメディアが殺到して「使わせて」攻勢をするとなれば。

これも多分にメディア側にすれば、先日の実名報道周りの話にもあったように「受け手側に印象を強く持たせるための手口」に違いはないのだけれど。昔のようにカメラを持っている人が少数で、状況をとらえる事ができたのが本当に偶然だったり、何らかのプロ意識を持つ人ならばいいのだけど(例えばたまたま現場にいた記者による映像とかね)、不特定多数の、素人に半ばそれを強要......というとちょっと違うか、積極性を持たせるような動機づけをするのは、中長期的にはそのような災害の際に「撮ろう」との意識を高めさせてしまいかねない。いやすでになっているのかも。先の噴火の際に命を落とした人の中に、スマホなどで撮影をして逃げ遅れたとしか考えられない状況の人もいたことだし。

この類の話は短期的に数量化できるわけではないので説得力は弱いのだけれど、関連性を考えれば誰も否定は出来ないはず。「自分で撮って怪我したら自業自得では」との意見で済んでしまうのか。報道の倫理があるのならば、考えねばならない話ではないかな。

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このページは、不破雷蔵が2015年5月31日 07:06に書いた記事です。

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