「スプラトゥーン」とステルスマーケティングの所感

ステマか否かってのは結局悪魔の証明みたいなもので、仮に実際に行われていて企業側がしてました的な宣言をすれば話は別だけど、ある・ないを確証づける手立てはほとんどない。ただ、一般的なレベルで考えれば、まずないだろうなという感はある。これだけ多数の人が利用してネットで話題にしている以上、仮にステマが行われていれば、それを証拠付きで暴露する人が複数出てくるはず、なのだが、その類のものは見当たらない。噂的なものはちらほら確認できるけど。

加えて、ステマと通常のプロモーションの境目を曖昧にして、ステマステマと騒ぐのもどうかなあ、という感じはする。例えば新作タイトルを先行して遊んでもらって口コミなどで広めてほしいとの思惑で、著名人などに無料でソフトなどを提供し「新作出たよ、遊んでみてね」ってのは良くある。書籍などでは献本って感じ。それはステマに入るのかな? 違うと思うんだけど。某ブログサービスのように、あらかじめ大枚はたいて芸能人に高評価のブログをかかせ、プロモーションだか独自感想だか分からないような記事を書かせることを広告パッケージとして提供しているのなら話は別だけど(こういうことすると、そのブログサービスの芸能人のブログそのものの信ぴょう性がゼロになるんだよね)。

もっともこれは随分と前からの話で、元々のステルスマーケティングの意味はどこにいったんだろうかといった状況。ステマなる言葉が徴兵制やブラック企業、ヒトラーといった、インパクト先行のキーワードに化けて、中身などどうでもよく、もやっとした範ちゅうでそれっぽいものならば全部それに含まれる、だから使って叩こう的雰囲気。

企業側が話すな、口外するなって事案ですら、スマホで写真撮ってボンガボンガ公開してソーシャルメディアで広まる時代。ステルスマーケティングってのはリスクばかり積み上げられているのが現状なんだよね。芸能人レベルならまだ口外した時のリスクがあるからともかく、一般人対象ではそのたがは無い。もっとも、マーケ方面でそれを理解している人がどれだけ居るかはまた別の話。

「スプラトゥーン」が広まった理由はむしろ、かつて2ちゃんねるで頻発した、コピペやアスキーアートの広まりのような、運とノリと創造性の反映が可能な対象って要素に合致したからでは無いカナ、と。ソーシャルメディア上で展開されたので、それが加速化されただけの話。最近ではレモンジーナの事案が良い例。以前も解説した気がするんだけど、ネットによる情報のやり取りの圧縮化で、固定事案に対する注目が時間軸で濃縮されてる感じなんだよね。

だから恐らく、よほど内容が奥深くて面白いものでなければ、「スプラトゥーン」も早くて一週間、多分一か月もたたずに「そんなのあったっけ?」状態になる。例のクッキーばあさんゲームのように、ね。「どうぶつの森」のように長きにわたり話題に登るようにするのには、それなりの運営側の努力と才能が必要になる......けど。それは今件では係わりの無い話には違いない。