本日も素人さんの原稿をチェックしているのですが、先日少し書いたように「特にこだわりがなければ開いた(平仮名にする)ほうが読みやすくなる表現」の一覧をザッとまとめてみました。まったく意識していない人が少し気をつけると、かなり変わります。 pic.twitter.com/kP5gq2aFbR
— たられば (@tarareba722) 2015, 5月 30
ツイートやそのレス、追加部分でも語られているけれど、あくまでもこれは汎用的な一例であり、出版社や雑誌など、各界隈で細かくルールが異なる場合もある。ただ、大よそは指摘の通りで、これを開いておく......漢字表記をひらがなにあらためる......ことで、読みやすくなるってことに違いは無い。記事タイトルにもしたけれど、辞書登録なり優先順位の設定で上位入れしておいて、この表記が優先するようにするとか、自然にベターな言い回しが出るようにした方がスマートだろう。
特に「捗(はかど)る」「殆(ほとん)ど」で顕著に表れている、理解はできると思うのだけど、この類の言い回しって、文章を読み進めていくうちにつまづきが生じやすい部分でもあるんだよね。漢字がそのままするりと読みに脳内で変換されればスピーディに読めるけれど、「あれ、これ何て読むんだっけ?」って部分があると、閲読のスピード感がそこでぱたりと止まってしまい、興ざめになる。脳内の情景描写で疑似世界が広がり、物語に浸透していたのが、すっと現実世界に引き戻されてしまい、興ざめを覚えてしまう。それだけで、その文章の評価はほんのわずかではあるけれど、落ちてしまう。少なくとも書き手の思惑から外れたものとなる。
「1人・2人」は「ひとり・ふたり」あるいは「一人・二人」かあ。これは3人・4人......と続くことが多いので、結構やってしまいがち。一方で、意図的にその漢字をあえて使う場合もある。見た目、表現のニュアンス、奥に秘めたものを分かった人はニヤリとしてほしい、とかね。堅苦しい人のセリフ回しには逆にこの類の漢字を用いて、それを表してみるとか。ひらがなには柔らかさ、漢字には堅さが何となく現れるから。たとえば「御免なさい。丁度良い所に来たので一つお願いを」と「ごめんなさい。ちょうどよいところにきたので、ひとつお願いを」とでは、随分と印象が違うでしょ?
もっとも、物語でそのような意味合いを持たせるならともかく、一般の解説文ではそこまでの内部的思惑を盛り込む必要は無く、指摘されている通り開いた表現を使うのが一番なんだろうけどね。
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