物価上昇と給料増加と年金問題と

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以前からちらほら出ていたけれど、年金の実質支払い額が減額されるのに関して(というよりこれまで特例的にルール上は下がるハズの所を抑えていただけの話)、下げたら死ぬ、憲法違反だ、物価は上げるな的な話で、裁判が起こされている。元記事の中身を読めば、そしてそこから訴えを起こしている側の関連サイトを確認すれば、色々と「ああ、そういうことね」ってのが読めるとは思うのだけど、あえてここでは具体的に説明するのは止めておいて。

経済上の低迷感を大きく底支えしていたデフレは脱却せなあかんってことで色々と施策が打ち出され、数字的な成果が見え始めると、こんな話が出てくるわけで。前々から指摘はされて来たけどね。

で、よく考えてみると、今の年金制度って、年金保険料ってのは自分の積立金では無く、各種保険の掛け金(死亡や重後遺症障害)に加え、将来年金がもらえる資格を得るためのものなんだよね。国民年金基金のように、自分自身の積立をしているわけじゃない。年金がもらえる資格を得るための支払い。そしてその支払いの多分は、その時点で年金を受け取る資格を持つ人への支払金に充てられる(国庫負担も加えられる)。

受け取る人数(高齢人口)が増える、支払う人数(労働可能人口)が減る。ならば受取側の一人あたりの受取金額が減るのも当然の話。仮に受取側の受取額を同一額に維持するのならば、受取対象人数を減らすか、支払う人数を増やすか、支払う一人一人頭の金額を増やすしかない。いずれも無理難題。くじ引きで当たらないと年金がもらえないってのは藤子先生の漫画みたいな話だし、支払う人数を増やすために幼少時から年金支払いを義務化ってのも無茶な話。年金保険料の引き上げも反発が大きいのは誰の目にも明らか。


結局現行システムでは限られたリソースの徴収と分配の仕組みである以上、自分達の分け前を増やす(一人一人の分け前は量的に維持されていても、集団としての人数が増えている以上、「自分達」の分け前は増えてしまう)ことは、同時に他の集団の分け前を減らすことになる。年金保険料を支払うサイドの負担を増やせば、結局支払う側の資産が食われてしまうことになる。

限られたリソースをあれこれやるには、遊んでいるリソースを上手くつぎはぎしてはめ込んで帳尻を合わせる必要がある。大本の引用記事でコメント部分で指摘しているけどね。上に挙げたのはあくまでも数字上のつじつま合わせであるけれど、一つの方法論としては考えても良いかもしれない。あるいは地域振興券の発行で補完するとかね。

最初に挙げた裁判の話では、憲法を持ち出しているけれど、それって悪手な気がするんだよなあ。ただでさえ年金支払い側の反発を受けるのは容易な話ではあるし、加えて憲法のその部分を持ち出すと、維持のために負担が増えるであろう層から、同じような論理で同様の話が出てきて、綱引きになる可能性すらあるんだよねえ......。

それと。やはりこれもコメント部分で指摘したんだけど。退職時の退職金とか、それまでに積み立てておいた積立金とか、多くはローンを返済済みで家賃支払いの必要が無い住居とか、色々と考慮はしているのかな。


まぁぶっちゃけ、これが一番だよね。すべてが丸く収まる。

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このページは、不破雷蔵が2015年6月 2日 07:27に書いた記事です。

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