ミスは必ず発生するとの前提で物事を考える、さもなくば破たんする

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先の年金周りでその原因が多分に、メールで添付された添付ファイルを安易にクリックしてしまったことによるということで、多分に揶揄する話が山積されたけれど、当方はその辺りはホールド宣言をした。内部詳細が公開されていないし(セキュリティ面を考えるとされないんだろうな)、当事者の前後状況も把握できない。事案そのものは間抜けでケアレス的なミスに等しいのだけど、それを意図的に、あるいは悪意としてやったものだろうか......。

話の限りではむしろシステムそのもののずさんさに問題があるような感がある。で、この話があらためてなるほど感を覚えさせられた次第。上層部、あるいはシステム関連の責任者が怠慢ぶっこいたのか、あるいは予算周りで厳重なものを創ろうとしたら無駄だとか言われてばりばり削られて「ミスはしないだろう」「普段から使う人が注意すれば大丈夫だろう」という部分に多分に依存する形となったのかは分からないけれど、その類の「なんとかなるさ」で予算を削るってのは、良く聞く話ではある。

でも実際には、人の努力や注意力、つまりリソースでは具体的に数字化されないものは、常に必要分が供給される保証はない。そして人は絶対にミスを犯す。その時、それらの想定を前提としたシステムは破たんする。

「100%完璧です」は聞こえがいいけれど、世の中にはそれは有り得ない。それだけは100%保証できる。機械や計算の上でも、イレギュラーは生じ得る。経年劣化はあるし、状況による変化で計算そのものが通用しなくなることもあるからね。

この考えって、防災と減災の概念に似ている。完全に災害の被害を防ぐ、つまり防災が出来ればそれに越したことはないけれど、それはとても難しいし、それを完璧に成すことは人間の力では不可能。よって防災を目指すのはもちろんだけれど、同時に防災が出来なかった時に損失を最小限にするための減災にもウェイトをかけなきゃできない。それこそが正しい手口であり、大人の考え方ではあるのだけど、震災以降どうもこの「100%完璧です」しか求めない、それ以外は全部却下という、潔癖論がまかり通っている感は否めない。それは自身の首を絞めるだけでなく、周囲の首まで絞めかねてしまいかねないのに。


究極な考え方としては、いわゆる「無人化せよ」になる。そうすれば少なくともヒューマンエラーは無くなる。それも一つの手ではある。ただ、無人化するためのシステムって、結局人が作ったものだから、人が想定しえない事態が発生した時にはエライことになる。要はヒューマンエラーのリスクを取るのか、イレギュラー時のドタバタをとるのか、ということになる。無論そのためには、イレギュラー時に臨機応変な対応ができるよう、技術に長けた、適応力を持つ人材が欠かせないけれど。


この指摘もなるほど感。多分に努力や善意でリソースを埋めてもらおう、頑張ってもらおう、対価はほとんどないよ的なものになると、上手くいかなかった場合、リソースを埋められなっった、努力が足りなかったから悪いとなり、善意が強要される。悪質な新興宗教とどこが違うのだろうかということになる。

人による柔軟性の高さやプラスα的な善意は欠かせないけれど、最初からそれを期待するのはシステム側の敗北を意味する。最初からオマケしてくれることを前提にお金を子供に持たせて買い物に行かせ、オマケが無かったので夕食の食材が足りなくなりましたってことになったら、悪いのは誰だろう?

100%は求めるべきだし、人の善意はあった方が良い。でも実際には100%は無理であるし、人の善意は無いこともある。世の中自分の考え通り、都合の良いように回るばかりとは限らない。当たり前の話だけれど、その当り前が時として吹き飛ばして物事が決まるってのは、やはり是正していかねばならないんだろうな。

その際にはもちろん、費用対効果、期待値といった、各種数理的な概念も必要なんだけれどね。

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このページは、不破雷蔵が2015年6月 3日 08:06に書いた記事です。

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