テレビ・ラジオ放送を全てアーカイブ化すると報道圧力になるという、新聞中枢部の方の主張

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国立国会図書館(東京都千代田区)がテレビ・ラジオ番組を全て録画・録音して保存する「放送アーカイブ」構想を巡り、議論が活発化している。超党派の国会議員連盟は「放送番組を国の関与の下で保存すれば、文化的資産になる」と主張するが、放送業界は政治から注文をつけられるケースが目立つ中で「事後検閲につながる」と反発する。どこが実施主体となるべきか、利用方法はどうするかなど、検討課題は多い。

そもそも論として「事後検閲」との言葉の定義が曖昧で多分に理屈付けに使われている感が強い造語であるところからしてアレな感はあるのだけれど。今件記事に関して「毎日新聞社取締役・総合メディア戦略、デジタル担当」「1981年入社。社会部に18年間在籍し、社会部長、編集編成局長を務め」たという、新聞社の重鎮にしてデジタル方面にも長けた人物としての立ち位置にある人の意見が呈されている。提示先の記事内容も、それを推挙する同氏の主張も、当然のことながら、その内容に関して多様な指摘が寄せられている。


そもそも国会図書館とは国会議員の職務に役立つためだけでなく、国民全体に対して寄与するためのもの。国民に対して使わせないってのなら非公開になっているはずだからね。それ以前に国会議員は国民の代表であり、独裁者でも空から降ってわいた施政者でもない。


まさに「報道圧力」になりかねない、といの言葉自身が「報道(による無制限の)圧力」として機能している、ツールとして利用されている不思議状態がある。


映像の公的機関による公平なアーカイブには、このような問題が生じていることから来る期待もある。個人ベースでアーカイブ化している人もいるとの話だけど、それではそのデータが正しいか否かの担保が無いんだよね。しかも個人なのでいつ失われるか、そのリスクが常に付きまとう。


書籍同様映像もデータとして残して、後々までの資産として大事に保管し、情報として語り伝えていく。文化とはそもそもそういうものであり、それを否定するのなら、まさに焚書坑儒を学者自らやっているのと何ら変わりはない。文化の判断をつけずにまとめて残すのは意図が云々とあるけれど、その文化であるか否かは誰が判断するのか。


ちょいと前に出回った「世の中には今必要なものと、今後必要になるかもしれないもの、その2種類しかない」という言葉すら思い返される。自分らで文化だから必要なもの、そうでないから不必要なものを判断し、それで残す・消すをすべきだ、全部をまとめて残すのは政治的意図があるから良くないと、どのような主旨を持って語ることができるのか。


新聞との差異、類似点に関して指摘する人も多い。多分に「これまで保全されていなかったから検証されなかった状況を崩され、検証されるようになるのを嫌がっているのかな」との結論にたどりつくのだな、これが。


まあ、保全を忌み嫌う理由としては「特権階級的、利権的な食い扶持が減らされるかもしれないし色々仮面をはがされるかもしれない」というのはあるのだろう。で、そのままを語ると格好が悪いので文化だの政治的圧力だのと正当性を振りかざすというのは、良くある話ではある。だから話に辻褄が合わなくなる。さらに前世紀の情報環境下における立ち位置のままで物事を考えていることも露呈された感は否めない。


情報と言えばそういや国民の知る権利云々とか特定秘密保護法とかが問題視されていたし、数年前にも似たようなアーカイブ周りで話があったような......ということで探してみたりすると、まぁ、ご覧のような感じ。今回トリガーを引いた方御本人も、テレビ業界全般も、情報について、都合の良い解釈をその場その場でしているわけだ。

繰り返しになるけれど、「報道の自由」と「報道の自由奔放で無責任」は別物であるし、「報道圧力」になりかねないとの言葉自身が「報道(による無制限の)圧力(行為)」となっている状況は極めてマズイと思うのだけどね。

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このページは、不破雷蔵が2015年7月 7日 08:12に書いた記事です。

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