中国市場の急落で次々打たれる施策に全当方が驚いた

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中国共産党の中央宣伝部は9日までに中国メディアに株式相場を客観的に報道するよう求める緊急通達を出した。報道規制により株式市場の主役となっている個人の動揺を抑え、社会不安が広がることを避ける狙いがある。

先日から生じている中国市場の急落問題。単なる市場原理による上下ならともかく、今件はどうもこれまで溜まってきた色々なひずみが堰を切って吹き出てきた感は否めない。まぁ、決壊しかけたダムを放置したら、自前の領地が水浸しになるわけで、それを放置するわけにもいかないのは当然の話なんだけど、中国は共産主義でかつ独裁国家であることを忘れちゃならない。核心的利益のためならば、どのような手段でも講じるってこと。

市場原理に従えば、売る人が多ければ値は下がる。売らなきゃならない理由があれば買う人は減る。ただ、売り買いには多分に人間の心理状況が関与してくるので、パニックやらスタンピードやらが関わってくるため、論理的な数字展開になるとは限らない。

で、今回の急落について中国政府側は「メディアが悪い」「煽動する奴がいる」などとして、あくまでも本質的には先日までの株価が妥当であり、急落したのは不当な動きであるとしている。空売りに対する調査を入れるともある。

驚いたのは次の部分。中央宣伝部の通達としての話で、

(1)株価の上昇と下落を冷静、客観的に報道する (2)投資家が理性的に株式相場の動向を予想できるよう世論を誘導する (3)株式相場と政治を関連づけて報道しない (4)権威ある部門の専門家のコメントを掲載する

を求めているとのこと。「求めている」ってのは今件の場合は実質的に強制だよね。従わなきゃ逮捕拘束なのは目に見えている。まぁ(1)はまだ良いにしても、(2)で「誘導」が使われているあたりは首を傾げるし、(3)はやはり株価の下落が政治不信につながり、党に矛先が向けられるのを恐れているんだろうってのは容易に分かる。株価は景気に直結し、景気が悪くなれば政治不信につながるってのは、どこの国でも同じ。(4)の権威ある部門の......ってのは、要するに株価上昇を示唆する内容でないと、権威ある部門の専門家とは判断しないってことを暗に示しているんだろうな。

まぁ、日本でも法に合致しない売買については調査は入るのだけど、今件の場合はどうなんだろうねえ。不法な利益を得ようとする集団が大量の売り仕掛けを行った結果なのか、それとも化けの皮がはがれて本当の値札が見えてきただけなのか。

例えば、多くの中国企業が「売買停止」を申請した。上場銘柄の半数以上が取引できないという、日本では考えられない異常な状況であり、中国経済が統制経済であることが明白となった。売買停止は週明けにかけて解除されるので、その時点の株価の動向は予断を許さない。

来週はEUとギリシャ間の債務問題に係わる交渉が山場を迎えるし、この売買停止が解除されるタイミンクでもある。サイコロの目次第では、今週同様に波乱にとんだ市場になりそうな感じではある。

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このページは、不破雷蔵が2015年7月10日 06:44に書いた記事です。

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