「民主主義社会の構成員の大多数は門外漢」
「門外漢は全ての問題についての万能のエキスパートではない」
「故に門外漢は専門外の問題についての判断を求められると、必ず間違える。正しいのは偶然運が良かったときだけ」
— 入門者のための実話怪談【怪決】加藤アズキ (@azukiglg) 2015, 7月 15
街頭インタビューに答える「門外漢のアマチュア」は、だから必ず間違える。
そしてよく分からないから、インタビュアーの質問を「ヒント」として捉え、その誘導に乗っかってしまう。
故に、街頭で行われる門外漢へのインタビューは、インタビュアーの誘導が常に成功し、公正にならない。
— 入門者のための実話怪談【怪決】加藤アズキ (@azukiglg) 2015, 7月 15
これは以前からぼんやりとした形で頭に登っていたのだけど、体現化している言い回しが複数見つかったので、良い機会でもあるということで、覚え書き。テレビのワイドショー番組でよくある、名前そのものは知られているけれど、見識はからきしな人や、特定分野の専門家として知られているけれど、万能な人では無く、他分野では素人と変わらない人にコメントを語らせて、それが正論・事実・正しいことのような認識をさせたり、街頭インタビューで何人かの人に問い合わせをした場面を映し出して、それが世間全般の意見であり、正しいものであるかのような伝え方をしたり。
上の指摘では「アマチュアは間違える」「アマチュアは誘導に乗りやすいので、報じる側の意図にそった『不特定多数の想い』を語りやすい」とあるけれど、さらに「報じる側の取捨選択」の可能性って問題もある。以前も触れたけれど、黒と白の半々の碁石の山から黒だけを取り出し、他人に「黒しか入ってないよ」と披露した場合、見せられた人は本当に黒だけだと誤認してしまう可能性がある。報道ならば多数の取材素材から、番組構成に都合の良い意見のみを抽出することも否定できまい。
街角インタビューはサンプルには違いないけれど、その語る内容が正しいか否かは別の問題であるし、その内容が世間一般の多数意見であるとも判断ができない。と、なるとそれらの類を報道素材として使うのは、多分に報道側の演出によるもので、報道そのものの意味・価値は極めて薄いことになる。
この、ぜんぜん関係のないことやってるひとを連れてきて、「コメンテーター」と称して、森羅万象についてしゃべらせる悪習、いつからはじまったのかなあ? オレが子供のころには、TVニュースは、映像流して、アナウンサーが読み上げるだけだったと記憶しているのだが......。
— 赤城毅 (@akagitsuyoshi) 2015, 7月 16
昔のように、アナウンサーがニュース読み上げ、関連映像を流すやり方でいいと思う。プロがその道のことを説明してくれるのならともかく、こっちと変わらない素人のありふれた感想聞かされてもねー。
— 赤城毅 (@akagitsuyoshi) 2015, 7月 16
ほぼ同時期にこんな指摘もあった。指摘の方向性はほぼ同じで、報道として意味の無い内容を流して、何が楽しいのかというもの。無論これまでもワイドショー的な番組でコメンテイターの語りがセットになるってのはあったと思うのだけど(いつからだろう、そういや確かに)、多用されるようになったは、以前から何度となく触れている「プレスとオピニオンをごちゃ混ぜにした」時期、ニュースステーションの登場とヒットがきっかけな気がする。
視聴者側は一体感を覚えるような感じになる(専門家の、見方によっては上から目線的なものではなく、近しい立場からの意見)し、報じる側はいくらでも事実・正しいことと思わせる内容を左右できる。報道のように見せた劇場劇を自分のシナリオで報じ、世の中のかじ取りを取っているかのようになれる。そりゃ、報道側の権威が絶大なものとなったと誤認してしまうのも無理はない。たとえはアレだけど、スピーカーが意志を持って内容を自在に差し換えるような感じ。
@akagitsuyoshi 少し違うのかもですが、論説委員でなくニュースキャスターが個人的意見を添えるようになったのは、85年開始のテレ朝のニュースステーションからだそうです。同時期からニュース番組のワイドショー化が進んだと言われるので、コメンテーターもその頃からかと。
— CALPIS since 1919 (@calpistime) 2015, 7月 16
@akagitsuyoshi その時点で、ニュースの中立性が更に失われて、視聴者に届けられる気がするんです。元々がどれを報道するか取捨選択されていますし...
— とも (@tomo_m_w_t) 2015, 7月 16
上記意見のレスポンスにもほぼ同じ指摘があった。やっぱりそうなのかな。
そして昔ならそれでも通用したかもしれないけれど、今は不特定多数が検証と情報発信ができる時代。報道のいびつさが目立ちつつあるのも、やはり環境変化に合わせたアップデートが上手く行われていない、良く使われる(悪い意味での)既得権益にしがみついている部分があるんだろうな。
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