1万部を刷った雑誌は2万部売れるはずがない...数の可視化と見栄の空振り化

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ちょいと雑誌の印刷証明部数と、その雑誌の公称部数を比較する機会があり、思ったこと。印刷証明部数ってのは日本雑誌協会が発表する、これだけの部数を印刷しましたよという第三者機関による証明値であり、公正さの上ではピカイチ。ただしデータを提供していない出版社も多いため、この値が分からない雑誌も多い。一方、公称部数は雑誌社なり編集部が対外的(主に広告主やその予備軍)に公知する、販売部数。この数を元にして、対外的な見栄を張ったり、アピール力・宣伝力を披露する。

で、印刷証明部数ってのは印刷した数だから、それを超える部数は絶対に売れない。古本としてリサイクルすれば2度カウントという発想は却下。それをやり出したらきりがないからね(何人読んだとか、何回読み直したとかまで数える必要が出てくる)。そうなると、印刷証明部数と公称部数を比較して、余りにも差が出ている場合、数を粉飾していることになる。

まぁ、実際には公称部数をちまちま変えるのも面倒なので、大体こんなもんで的な感じのお手盛りは許される範囲。日本の人口は1億人強、的な感じ。ただこれを印刷証明部数の2倍とか3倍といった、倍数レベルの上乗せをするのは、良識に反している。日本の人口なら2億人とか3億人とか盛るようなもの。ただそれが、半ば慣行的に行われているのも否定できない。


昔なら印刷証明部数の類は、協会自身に足を運んで直販で資料冊子を購入するしか、確かめるすべは無かった(通販可能な時代もあったのかな? あるいは国会図書館でも精査はできるか)。でも今は2008年位以降に限定されているけれど、ネット上で誰でもさくっと精査が可能。つまり下手な上げ底をしても、すぐにバレることになる。昔と同じように、実体を知る人などほとんどいないだろうと公称部数をモリモリやっていると、その雑誌の誠実性が疑われる。これもまた、可視化による効用、情報伝達の仕組みの変化に伴う、環境の進化なのかもしれないなあ、と。

この類の「数字が可視化され、多数の人によって検証され、これまで可能だった猫ダマシ的なものが通用しなくなった」って事例、結構あるよね。

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このページは、不破雷蔵が2015年8月31日 06:44に書いた記事です。

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