精神的な貧困は「おひとりさま」でも脱することはできる

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「未婚化が進む日本では、高齢男性の"おひとりさま"世帯はより増えていきます。経済的な貧困の解決は政治の問題ですが、"精神的な貧困"に陥らない方策を提示することが社会学的な課題です」


そう語るのは社会学者の阿部真大氏。精神的な貧困の代表である孤立化は未婚化が進む現代人にも悩みの種だ。


すべてが、というわけではないのだけど「社会学者」のような肩書を持つ方の言は自らの主張がまず結論としてあり、そこからすべての社会的現象を結びつける傾向があるので読むときには注意をする必要があるとして。

【会話や近所付き合いから見る高齢者の「ぼっち」状態(高齢社会白書:2015年)】などでも触れているけれど、高齢単身世帯における社会的孤立感の高まりは問題視されているし、高齢者が住まう集合住宅はそれ自身がコミュニティ化しているので立ち退きの際には全体をそのまま別の場所に移送することが求められるとの話もある(震災の時にも大いに問題となった。数合わせだけで色々決めちゃダメってこと)。一方で定年退職後には趣味を持ち、仕事以外の社会的な結びつきを持たないと、社会の上で孤立してしまうってのも良く聞く話。これも「おひとりさま」問題では重要な要素。

で、現在問題視されているのは、自分の周囲には一人しかいない、いや人間は山ほどいるのだけど、自分を知っている人、つながりがある人がいない、ちょいと古いけどコンクリートジャングルで孤立状態にあるのがマズイという状況。

......ではあるんだけど。


こういう話も増えている。これ、直接は指摘されていないけれど、物理的なつながりを持たなくても情報の上での親近感、連動感、つながりを覚える状況が手に入るようになったから、意思疎通ができる環境が整備され、自分が一人ぼっちでは無い、無人島にいるような状況では無いことが確認できるツールが手に入ったので、物理的な状況では一人ぼっちでも昔ほど苦しくなくなったってのが大きいのだろう。

見方を変えると今の若年層に「ネットもケータイもソーシャルメディアも無い世界に行ける? 友達自身は山ほどいるし、いつでも直接会話できるけど」と聞いたら、何人の人が了承するだろうか。

高齢者の一人ぼっち時代、最初の記事にある「精神的な貧困」問題ってのも、情報に対する姿勢次第で大きく変わることができるような気がする。パソコンなりスマホをばりばり使いこなして情報を駆使しているシニア層で、「精神的な貧困」は想定しにくい気がする。......まぁ、取捨選択を誤ると、貧困ではないけれど偏向した精神を持ってしまう可能性はあるけれどね(それは誰だって同じ)。

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この記事について

このページは、不破雷蔵が2015年8月13日 05:58に書いた記事です。

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