ソーシャルメディアで単純作業のごとく「取材」をする大手報道を見て

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先日の中学生の夜間外出による事案でも関係各方面に「取材」をしている様子が確認できた。一方で某所の大規模火災では、明らかにフェイクな画像に対しても取材を申し込んでいたところから、一部ではキーワードを用いた自動検索・ツイート機能と連動させた取材のスタイルをとっているのかもしれない。ちなみに該当アカウントは成りすましではない。

一方で、これは以前にも触れた記憶があるし、何度となく問題視されている話ではあるんだけど、体面的、あるいは電話などによる、精々電子メールによる取材と、ソーシャルメディア経由での「取材」を、同一視してよいのかなという疑問はある。

まず、テキストで行われる以上、どのような礼儀正しい言い回しをしても、心境的には軽んじられていると認識する人も出てくるだろう。ちょいと前に話題に登った「ビジネスの場でLINEのスタンプを使って返事をするのはアリかナシか」という問題にもつながるかな。

それは個人の判断基準次第だからケースバイケースだとしても、相手の状況を精査せずにテンプレで次々に絨毯爆撃的にアプローチをかけた場合、相手側はどのような心境になるだろうか。しかもそれは、現場取材ですら失礼に当たる可能性もあるというのに、不特定多数に容易に認識される状況下で行われたら、それでもまだ普通の「正当な取材」といえるのだろうか。

例えるなら、事故で肉親を失い、涙を流し続ける子供に向けて、全国中継の生放送でマイクを突き付け、「どんな気持ちですか?」と聞くような感じ。いや、被害当事者となった子供だけでなく、その家族の周辺近所の住民に次々とノックをして、さらには学校にまで押し入って同級生に問い合わせをするようなもの。ネットの情報に係わる特質性を考えれば、生放送だけでなく、その映像を後程何度でも繰り返し用いるようなもの。

インターネット、特にソーシャルメディア、中でもツイッターはお気軽に第三者へ向けて石発信ができるツールに違いない。でも、だからこそ、今までのコミュニケーションの手法と同じような感覚で、切り口で用いていると、思った以上に深い切り口を与え、相手をえぐっていることにもなりかねない。便利な道具はその分鋭利であることを注意しなければならない。

加えるなら、複数メディアから同じようなアプローチがあれば、それはすなわちメディア自身が禁じ手としている「メディアスクラム」に他ならないのだよね。

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このページは、不破雷蔵が2015年8月26日 08:06に書いた記事です。

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