EUの移民問題が加速度的な悪化をしている感じ

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日本の報道そのものがこれまでほとんど情勢に関して無視を決め込んでいた、というか優先順位が低かったってのもあるのだろうけど、8月下旬以降EUの移民・難民問題のニュースがちらほらと確実に目に留まるようになった。EU全体としての条約やら、EUを全体で一つの国みたいな感じで見る一方、各条約は国単位で守ることになるので地理的な面で不公平が生じているといった、色々なひずみが表面化している。

経済にかなりダメージが生じている、あるいはようやく復興の兆しが見えて来たかなという状況のEUの国々にとっては、移民・難民の類はマイナスとなる可能性が高い。人材の確保の観点ではプラスかもしれないけれど、まず自国の失業率を改善し労働市場を健全化しなきゃならない。難民はもちろん移民に対しても、相応の保護施策をとる必要があるが、それは国全体の社会保障の負担を大きなものとする。該当国の政府が、既存の国民が焦りを覚えるのも無理はない。

大義名分や正義感と、自分自身の足元の安定性、どちらを優先するか。前者を優先したとしても、その選択は一度で終わることがなく、状況はどんどん加速化していく。次第に後者のウェイトは大きなものとなる。一度や二度のつまみ食いは許せても、毎度毎度繰り返され、量も増えてくれば制止せざるを得なくなる。以前触れた、許容性を意味するグレーゾーンへの過度の浸透が、新たな、明確なガイドラインの制定を誘発する話と似ている。


コメントでも言及しているけれど、移民と難民は厳密には違うのだけれど、EUにとってはもはや双方が同じように判断せざるを得ない状況となっている。また事態が改善化する兆しは無く、このままではEU側でさらなる大きな混乱、移民・難民の歯止めと衝突が生じ、EU内部での意思統一が出来なくなる可能性が高い。経済が何とか持ち直してきた、なんとかなるかもなと思っていたら、崩壊リスクは外部からやってきたことになる。

半年後にはEU情勢そのものが今件移民・難民問題で大きく変わっているかもしれない。

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このページは、不破雷蔵が2015年9月 3日 07:00に書いた記事です。

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