ヨーロッパの移民・難民問題、根は深く、そして複雑

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多くの人がフェイスブックなどのSNSで友人などが成功したのを知り、自分もやってみようと思ったと話してくれました。お金を払えば、トルコの密航業者が車やボートの手配など全てやってくれるということで、ルートが確立した事もヨーロッパに向かう難民が増えている原因になっていると思われます

日本の報道姿勢が変化した雰囲気もあるんだけど、それ以上に状況が急速に悪化していると思われるのが、ヨーロッパにおける移民問題。容易に船、あるいは陸路で移動できるのも一因、EU内の協定における移動に係わる規制も一因。そしてもっとも大きな要因としては、中東情勢のダイナミックなまでの悪化と、それに連動する形での「EUはパラダイス」的な情報の拡散。

以前誰かが言及していたのを思い返すんだけど、この一連の流れって、結局のところ、数年前の紫陽花革命とかで、ソーシャルメディアが重要な役割を果たしたのだけど、その革命は結局のところ更なる混乱を該当地域にもたらすだけに終わり(ぶっちゃけると、独裁的政治機構による統治の方がマシだったという話)、同じくソーシャルメディアでの情報が拡散されたことで、ゴールドラッシュ的な状態になっているということ。ゴールドラッシュのときの西海岸は、現状ならEU、特にドイツやイギリスという次第。

で、先のEU委員会での調査でも触れているんだけど、このような話が出てくると、移民と難民の仕切り分けが難しくなるんだよね。難民の方が保護されやすいとなれば、移民も難民を名乗るようになる。そしてどちらか一方のみってのはありえず、実際には「難民」「移民」の度合いがどれだけか、との問題。そしてEUの一般市民ベースではどうやら移民・難民の区別無く、問題視する傾向がある。引越しをしてきた人とか、労働力の補てんをするありがたい存在とかいうものではなく、社会経済負担を増やすだけの、やっかいな存在、的な。

数年前の最悪期は脱したけれど、EUではまだまだ失業率は高い。特に若年層は失業にあえいでいる。恐らくEU内部の若年層の反発が最初に沸きあがる気がする。根本的な解決策は、流出国の情勢安定化で流出を止めることであり、問題の論旨がなぜそちらに向かないのか、不思議でならない。まぁ、それが可能か否かとの点では、不可能だと判断しているからこその論評なんだろうけど。


人として生きるためには人道主義的思考に基づいた意思決定を行動原理に刻む必要があるけれど、それで自分自身が飢えてしまう、努力の成果が削り取られてしまうとなれば、人の判断はどのように揺れ動くのか。社会福祉問題、生活保護の事案を見れば、色々と複雑な心境となる。サポートは必要だろうけど、自分の努力が実らず、あるいはその実りを奪われるとなれば、どのような考えに至るのか。

今件では(ある意味、受けが良い)人道主義的な主張を前面に押し立てて、少しでも否定するような意見を述べると、善人の立場として嘆き、叩く動きも見られるけれど。個人ベースでの手の差し伸べと、行政・国レベルのそれを同一視すると、正しい判断を見誤ることになる。

「根本的な解決策は流出国の情勢安定化」とあるけれど、新興国への援助の一因って、まさにこれなんだよね。

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このページは、不破雷蔵が2015年9月 6日 08:25に書いた記事です。

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