人手不足というけれど、その実態は都合の良い安価で使い捨ての人員不足。それが「ボランティア」で化粧された感じ

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先日の【「オリンピックのためにボランティアなエンジニアが必要、今後5年間で4万人」という話】の話。結局のところ、エンジニアという職種、しかもセキュリティ方面に携わる人たちをどのような目で見ているのかについて、よりによってその業界で相応の立ち位置にある人たちが暴露してしまったという、あまり笑えない話ではあったんだけど。IT分野に限らず、昨今の人材不足、人手不足の少なからずは、指摘の通りその労働市場における潜在的労働力が不足しているのではなく、その労働力を求めている企業側の買い叩き的思考に基づいた、安価で使い捨て的な、それこそ100円ライター(あまりシャレにならない)的存在の不足でしかない。

一部分野では潜在的労働力自身が枯渇している方面もある。必要な技術を持った人材の絶対数が不足していて、いくら好条件でも手を上げる人が少ない。しかしそれも結局、多くの場合は潜在的労働力が不足してしまうような環境、相応な労働対価や社会的地位を保証せず、人材が育たなくなった状態を生み出した、労働力を求める側に責が無いとはいえない。働いてもろくな生活も出来ないような業界に、どれほど将来を見出し足を踏み入れる人材が出てくるのか。

結局のところ、現状の環境・待遇の改善は最低限必要で、それにより現在の潜在的労働力を確保する事ができ、さらに今後も同様の保証をするとの姿勢を見せることで、将来に渡る労働力の維持、充足も可能となる。具体的数字化、数量化は難しいけれど、概念的にはごく普通の、まっとうな話。出ている芽を育てて実を得ようとするのなら、水や栄養の管理、害虫駆除は欠かせないし、将来に渡り永続的に同じ収穫を求めるのならば定期的に種を植えて管理をし続ける必要がある。


これらもまっとうな話で、見方を変えるとお金の概念をしっかりと認識しているか否かって問題でもあるんだよね。加えて、直上でも触れているけど、数字では明確化しにくい、でも良識と常識で考えれば誰でもすぐに理解できる範囲の、当たり前のことの実施。そしてそれは企業側、求める側の都合では無く、労働者、受け入れる側の物差しで推し量ることになる。「俺が高いと思ったから、この金額で十分だろう」との主張は、単なる価値観の押し付けでしかない。

「金庫番を飢えさせない」ってのは先のオリンピック周りでのセキュリティ関係者云々の話と同じ。だからこそ、それをボランティアでなどというそろばん勘定をするのは、筋違い程度の話ですらなく、複雑骨折レベルの問題となる。


これは以前「常識情報のアップデート」周りの話でも言及したと思うのだけど、自分の若年層当時の概念がずっとそのまま残っていて、それを現在の若年層にもそのまま当てはめている結果、おかしな主張をドヤ顔で正論であるかのように語ってしまっているケースが多々ある。くだんのラーメンの価格について笑った世代の多くは、実のところ他人を笑えないのではないかな。

加えて最後に指摘している、当方も本家サイトの記事で何度か触れているけれど、現状が辛い状況でも、先に明かりが見えるようならば、それを期待すべく明日に向けて歩めるのだよね。ところがその道筋を見せない所か、積極的にその道にゴミを散らかし幅を狭め、先々の果実を奪われているような状態。将来に向けて備えている種もみまで食うなよ、というあたりが今の若年層の声ではないかと。若者から見れば、「やりたい放題やって俺らにはろくに飯も食わせず夢も持たせず、暴飲暴食の後始末すら俺達に放り投げるつもりかよ」という心境になるのも不思議では無い。

以前から何度か触れている話ではあるんだけど、「年金で暮らしてるのに」との声。年金以外のこれまでの蓄財ってどこに行ったんだろう。個人ベースのお金の話であるだけにセンシティブなものではあるんだけど、この辺りが曖昧な状態なのも大きな問題じゃないのかな。

......ということで、先日から色々と本家サイトの方で【高齢年金生活者の「貯蓄であと何年不足分をおぎなえるか」を試算してみる】のような話をしている次第。

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このページは、不破雷蔵が2015年10月13日 07:59に書いた記事です。

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