消費税率の引き上げと国のリソースと「仁徳天皇の民のかまど」と

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本家サイトでも記載している通り、税収がある程度確定している直近年に関しては、消費税率を引き上げても税収総額は増加するっぽい状況にある。ただこれって同時に景気対策の成果が上がっているところによるものが大きく、2015年に入ると景気そのものが足踏み、さらには後退しているようすが株価や各経済指標が出ているので、税収は再びネガティブな方向に動く可能性が高い。まぁ、実際に数字が出てこない限りは、可能性でしか語れないけれど。

で、「仁徳天皇の故事」ってのは


でも語られている通り、仁徳天皇の治政として「日本書紀」の話の一つ。どこまで本当なのかは調べようもないけれど、庶民の住宅から煙が見えず、かまどを使う余裕もないほどの貧困ぶりを認識した仁徳天皇が3年、さらに3年徴税を中止したところ、庶民の暮らしが豊かになり、再びかまどから煙が立ち上るようになったとの話。徴税を中止した間は当然宮殿は随分と傷んでしまったけれど、民が進んで献上をするようになったとのこと。


年間10兆円を超える税収の代替財源はどうするのかなどの問題もあるけど、そして一度例外を設けると何度となく繰り返される可能性があることを嫌うことから、消費税率をゼロに戻すってのはハードルがやたらと高いけれど、景気への効果は多分にある。消費意欲は格段に跳ね上がるはず。まぁ、現行の8%を維持し続けるだけでもそれなりの経済対策にはなるけれど、今一つ弱いのも事実。

ただ、ぶっちゃけると、先日からの携帯電話の利用料金周りでも言及しているのだけど、昨今の財政問題も合わせた経済関連の問題の多分は、高齢層向けの公共分野(社会福祉、医療)にかなりの国家リソースが食いつぶされて、国力の成長促進部門や経済活性化部門に回されていないのが主要因。投資の概念で考えると、極めてよろしくない。相乗効果の上では乗数効果の指標が1.0を切っている(100円投資しても100円未満しか戻ってこない)ような感じ。一方で高齢層自身は多分の蓄財を成したままで、これが循環されないで滞留している。これもよろしくない。

一番なのは国力増強・経済活性化と、高齢層向けの公共分野とが合致する部門への投資なのだけど、そんな分野があるのか否か。ちょっと想像がつかない。この高齢者の蓄財の部分を、そのまま高齢者への社会福祉などに充てるような仕組みがあると良いのだけど。例えば今の年金制度における支給金を、高齢者の蓄財全体から割り当てる部分を設けるとか。


高齢者が蓄財を続ける理由としては、指摘の通り溜め込んだものをステータスとする傾向が強いってのも一因(残高が少なくなると不安になるってのも多分にあるけど)。要は自分を誇れるものが欲しいわけだ。代わりに散財を自慢できるような仕組みがあればお金の流動性は高まるのだけど。

散財...というか積極的な消費が誇りになるような仕組み。例えばネットゲームの『ウルティマオンライン』の場合は、ゲーム世界内の流通資金が増えすぎてインフレ傾向が生じた時に、システム側がプレイヤーキャラクタの住宅に飾れるレアアイテムを超高額で提供する施策を取ったことがある。リアルだと盗難のリスクがあるけれど、これも発想の一つとしては面白い。額購入・寄付者には受勲とか表彰とか、神社への寄進に対して柱に名前を刻むあたりは、よくある手法。例の処方薬の溜め込みも、結局のところ発想の観点では同じなんだよね。他人に無いものを自慢したがる、優越感を得たがるって点。

社会全体にはお金はあるけれど、それが回らずに多分が滞留している。投資効果が低いところに重点的に投資が行われている。投資効果か高い、将来に向けて成長できる分野への投資リソースが十分に割かれていない。この辺りまで踏み込んで手を加えていかないと、景気の根本的回復は成されない。

やはり国家予算......だけでなく地方予算も多分に振り回されている、高齢者向けのリソースを、どうにかそろばん勘定でやりくりして、他の部門に振り替える必要がありそう。生活保護の点を見てもそう考えてしまう。例えば母子世帯・父子世帯へのサポートを厚くするだけでも、結構状況は改善するはずなんだけどね。

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このページは、不破雷蔵が2015年10月21日 07:45に書いた記事です。

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