本が売れぬのは図書館のせい? 新刊貸し出し「待った」(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース https://t.co/LFcAQppsg0 「新潮社の佐藤隆信社長が、売れるべき本が売れない要因の一つは図書館の貸し出しにある、と口火を切った」
— 不破雷蔵(懐中時計) (@Fuwarin) 2015, 10月 28
「今回の「貸し出し猶予」の要請の動きに、日本図書館協会は困惑する。山本宏義副理事長は「図書館の影響で出版社の売り上げがどのくらい減るかという実証的なデータがあるわけではない」と話す」
— 不破雷蔵(懐中時計) (@Fuwarin) 2015, 10月 28
以前公的機関のデータを元に図書館の利用状況の精査を行った際にも、「図書館が盛況になればなるほど書店で本が売れなくなる」との意見をいただいており、まぁ、こんな話が出てくるのも不思議では無い。
でも引用元の記事に掲載されているグラフを見れば分かる通り、図書の貸し出し冊数と書籍の売上推移ってのは、かつては同じような動きをしていた。貸し出し冊数と書籍の売上高が相反する動きを示したのは、前世紀末からなんだよね......ってグラフがすげぇ雑だな、これ。典型的な悪しきグラフ。機会があれば再精査したほうがいいぞ。まぁそれでも増加・減少ぐらいは判断できるか。
で、今件の「本が売れないのは図書館のせい」ってのを読んでみると、どうも書籍に関する需要を「買うか買わないか」の二元論だけで考えている感が強い。あるいはそのような意見をした方が、色々と突っ込まれなくてよいと考えているのか。
印刷物を欲しいと思ったことを想定すれば容易に理解できるのだけど、実際にはその二元論では絶対に説明できない。どれほど高くても、絶対に欲しい。内容次第では買ってもいいかな、コスパしだい。内容もコスパも今一つだけど、定期的に買っていてこの号だけ抜けるのはいやだし、的な状態。表紙を見て、ああこれは面白いカモと衝動的に。いわゆるグレーゾーン的な需要で、どちらにでも傾倒しうる状況ってのはたくさんあるし、購入した・しなかったいずれにしてもその内心にはさまざまな感想がある。雑誌のアンケートで「どの点がよいと思いましたか」の項目に複数の選択肢がある事を思い返せば、そのあたりは容易に理解できるはず。
そして「買うゾーン」にある心境の濃さはさまざまで、ちょっとしたきっかけで「買わないゾーン」にシフトする。逆もまた真。そのきっかけが他人のオススメ、懐の余裕、図書館や本屋での精査、ネット上での「こんな書籍もお勧めです」。人の行動性向は二元論などでは絶対に説明できない。それを単に図書館で読んでしまうから買わないとするのは、余りにも強引すぎる。
第一具体的かつ大規模な調査対象母集団による統計データが無い。また似たようなパターンは良く聞く話ではあるのだけど、「図書館で済ませて購入しない人」のうち、どれ程の人が「図書館で無ければ購入する人」となるのか。「図書館で無ければ買わない、別の本で代用するか読まない」で済んでしまうのではないか。それよりも「図書館で済ませて、その存在を知り、(該当誌、あるいは類似の他誌の)購入動機にシフトする」効用を考えた方が良いのではないか、とかね。
当方も実際にあるからね。そのパターン。ネット上で公開されているウェブ漫画の広告を見て、実本をその広告のリンクをたどって購入して、ファンになったってのがさ。
売れてる本は、図書館でもなかなか借りられない。という実証データも取ってほしいところ。
本が売れぬのは図書館のせい? 新刊貸し出し「待った」(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース https://t.co/QqKKPoc98a
— TETSUYA2754 (@TETSUYA2754) 2015, 10月 28
だいたい図書館で借りる本ってのは、入手困難か中身を確認して買いたい本なんだよね。
— TETSUYA2754 (@TETSUYA2754) 2015, 10月 28
「本が売れぬのは図書館のせい?」のリツイートが回ってきてるけど、中小出版社としてはむしろ全部の図書館が1冊ずつ購入してくれるほうがありがたい。ベストセラー小説をたくさん出すごく一部の出版社とごく一部の作家の主張を鵜呑みにしてると、けっきょくみんな不便になると思う。。。
— 清太郎/seitaro (@seitr) 2015, 10月 29
新潮社の佐藤社長「増刷できたはずのものができなくなり、出版社が非常に苦労している」「売れるべき本が売れない要因の一つは図書館の貸し出し」
ここまで傲慢に「新刊本が売れないのは図書館のせい」だと断言できるとは。
文芸書が図書館の買い上げによって買い支えられている点は無視ですか。
— 大沢愛 (@ai_oosawa) 2015, 10月 29
日本では長年「漫画を読むと本を読まなくなる」と漫画を目の仇にしてきましたが、最新の調査では漫画を読まない子はそもそも本を読まないことが判明しました。
そして今度は「新刊本が売れないのは図書館のせい」ですか。
新刊本を貸し出さなくなった後の未来が見える気がするのは私だけでしょうか。
— 大沢愛 (@ai_oosawa) 2015, 10月 29
新書が売れないのは図書館がーって論調があるようですが、洋楽のCDを発売から1年レンタル禁止にしてどうなったかというと、日本の音楽市場から洋楽がほぼ駆逐されるという結果に終わったんですよね。やろうとしてる事はそういう事だと思うんですけどね。
— デレステID:900327798 (@REKKAP) 2015, 10月 29
新刊書籍を1年は図書館に入れないでという話。昔、レンタルCDで、一定期間は洋楽新譜を扱わないと業界内で取り決めたために、リスナーから洋楽に親しむ機会が失われ、結果的にセールスもふるわなくなりました、って話聞かされたのを思い出す。
— IMAI Toshiyuki (@imait) 2015, 10月 29
図書館で借りる人は借りられなくなったら
本読まなくなるだけな気がするんですわ >RT
— ものの腐ごりえ (@gorie666) 2015, 10月 29
今件に関しては多様な方面から意見が寄せられていて、当方の目に留まる範囲でも結構色々と「なるほど」と思わせる切り口のものがあった。電子書籍に関して、大部分のフォーマットが「閲覧できる権利でしかなく、手元に元データは残らない」っていう問題がクローズアップされる中、色々と考えさせられる。
音楽CDやゲームのパッケージソフト、ビデオソフトでも、似たようなパターンがあった気がするのだけどね。●×が悪いと声を荒げれば、大よそしばらくの間はセールス減退の責任を回避できる。一因には違いないから嘘では無いと強弁もできる。そして気が付くと問題の本質部分でどうしようも無くなってくる。かじ取りをしている人達の考えが前世紀的、情報のアップデートができていないなどが要因なんだろうなあ。
第一、逆の言い方もできるってことに気が付かないのかな。「図書館の貸し出しで済んでしまうほどの、購入するのには値しない価値だということを、自ら認めてしまうのですか」と、ね。
ただ一方で、こんな話もある。
朝日新聞の「本が売れぬのは図書館のせい? 新刊貸し出し「待った」」と題された記事、そのネタ元となった分科会に参加していた一人として言うと、あまりにひどい内容で、いったい佐藤社長の話を本当に聴いていたのか、と疑うほどの内容。ステレオタイプなつまらない構図に引きずるのはやめてほしい。
— 黒田拓也・東京大学出版会 (@takuya1969) 2015, 10月 29
......となると、やはり現場の映像公開、議事録の開示の必要性、新聞媒体の報道としての機能の喪失という問題が出てくることになる。紙媒体そのものの問題には違いないけれど、今件は主軸がちょいとばかりずれてくることになる、かもしれない。
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