「ステマ症候群」の記事でちらほら容認する意見が業界関係筋から見られる雰囲気を覚えて

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先日【週刊ダイヤモンドの特集記事「ステマ症候群」に目を通して「ああ、これは」的な】でも言及した、週刊ダイヤモンドによるサブ特集記事「ステマ症候群」でクローズアップされた、ポータルサイトへの転送でブースト起こしてウハウハステルスマーケティング効果さく裂的な話。

当然一般誌であることから不特定多数が手に取り目を通して感想を語っており、その内容も少なからず目に留まるようになったのだけど。どうも媒体関係者や広告に絡んでいる業界人、一部知識人から、今件事案を肯定する、容認する、むしろ何で怒られてるの? 的な発言が複数見受けられて、少々首をかしげる次第。中には、一つ二つで無く結構な数で、問題そのものの軸を微妙にずらしている話もあったりする。

中には「ノンクレ(「広告」などの表記の無い広告記事。ノンクレジットの略)記事など当たり前。何が悪いの?」的な意見もあったりする。極論として、ノンクレだろうと何だろうと、法に抵触しなければ別に何を記事にしてもかまわない。ただ、関連協会などに入っており、その規定に「やっちゃダメ」とあれば咎められる。また雑誌社の姿勢として、クライアントとなる企業の方を向いているのか、読者の方を向いているのかという問題になるのかな、と。これ、テレビとCM・番組の関係に似てるんだよね。スポンサーの方を向いているのか、視聴者の方を向いているのか、みたいな。

ちなみにノンクレ広告(記事)、従来媒体でも山ほどある。例えば直接金品のやり取りでなくとも、広告とのバーターの場合は、半ばノンクレ広告記事と認識されても不思議ではない。具体的に契約書を交わさなくても、新商品の状況確認のために営業担当と打ち合わせ、その中で「じゃあ新作に係わる紹介記事を特集でどーんとやるから、広告カラーで2ページを」「おぬしも悪よのお」みたいな。どの道雑誌社はある程度新作関連の記事を書かねばならないのだけど、その取捨選択はある程度裁量が効くし、企業側はできるだけ多くの露出を望んでいるとなれば、ウィン・ウィンの関係となるわけで。ただし読者の思惑はそこから外れている、みたいな(読者の需要とも一致していれば問題ないのだけどね)。

今件が大きな問題視されているのは、いわゆるヤフーをはじめとしたポータルサイトに転用され、周知効果が絶大になり得ることを前提としているからに他ならない。そして転用するポータル側は「実質広告の記事」であることを認識していなかったから。

少々例えが雑だけど、「自家栽培の農家から毎日入荷している新鮮な野菜です」とうたった野菜が大手スーパーで売っていて、実はその野菜の一部において、該当自家栽培の農家が海外からの安い野菜と混ぜてスーパーに出荷していたら? 似たような話が何度かありましたが、まさにそんな感じ。


「違法では無いのに契約解除は問題。だから大変」との指摘もあるけれど、これは契約の内容次第でいくらでも何とかなりそうな気がする。上記の例なら、自家栽培の農家が海外産の野菜を自分でいくら食べても別にかまわないけれど、その海外産の野菜を自家栽培のものと混ぜて出荷していたら、スーパー側からアウト判定されても仕方がないってのと同じ感じ。つまり「記事でーす」と送っているものの中に「実は広告でしたー、てへぺろぉ」が混じってたら、しかも意図的に混ぜていたら、受取側はどう思うのよ、ということ。

実のところ、この点こそ、広告関連やメディア関連においては重大な問題。信頼性そのものに係わる話だからね。あるいは例のネイティブ広告をはじめ、延焼する部分も多分にあるのだろう。だからこそ一部の関係者は軸をずらした上で曖昧な発言をしたり、肯定をしているのかもなぁ、とすら勘ぐってしまう今日この頃。

媒体はどこを向いて歩いていくべきか。いま一度考えてみるべきではないかな。

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このページは、不破雷蔵が2015年11月 6日 07:59に書いた記事です。

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