「印刷証明部数の希薄化」という問題

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なお今件の各値はあくまでも印刷証明部数であり、紙媒体としての展開動向。コミック誌の内容が電子化されて対価が支払われた上でダウンロード販売された場合、その値は反映されない。そして今後は電子雑誌の利用性向も確実に上昇する。そのため、印刷証明部数が減少を続けても、各雑誌、コミックの需要がそれと連動する形で減退しているとは限らないことは認識しておくべきである。


先日本家サイトで挙げた【「妖怪ウォッチ」は余韻すら消え去り、前年同期比では1誌以外すべてマイナス...少年・男性向けコミック誌部数動向(2015年7月-9月)】の巻末に、今四半期から追加した一文。印刷証明部数は紙媒体としての印刷部数であることから、紙媒体以外に電子媒体を同時に発売する雑誌が増え、電子版を購読する人、紙媒体からシフトする人が増えれば、印刷証明部数は印刷した部数の動向には違いないけれど、コンテンツの集合体との視点から見た雑誌の趨勢を推し量る上では、ちょいとぶれが生じて来るかもね、という話。

これは新聞にも言えることで、唯一継続的にその内情を公開している日経新聞でも、紙媒体版の減少部数分以上に電子媒体版の有料購読者数が増えるパターンが出てきている。この場合、紙の新聞の減少は間違いないけれど、新聞というコンテンツを有料で購読する人の視点で見ると、必ずしも減退しているわけではなく、むしろ増加していると見ることもできる。もちろん紙と電子で「読む」ことの質は違ってくるので、同一としてカウントするのも問題かもしれないのだけど。

恐らく今後数年のうちに、この電子版による購読者数の増加における問題は、さらに大きくなってくるはず。広告費の計算をどうするのかな、とかも合わせ。一方で、紙媒体版の場合はABC協会によるかなり厳密な第三者精査によって比較できる数字があるけれど、電子版にはそれがない。内部的にはそれこそ紙媒体以上に厳密に、容易に数字をカウントできる一方で、対外的に公知する際の数字をどれだけ盛っても、それを外の人が確かめることはできない。何しろ基準は無いのだから(厳密には広告の募集をする際に「盛り値」を使うと、詐欺にあたる可能性がある)。

ABC協会でもいいのだけど、早いうちに電子書籍・雑誌に関する公知基準などを創り、集約して公開する仕組みを作っておいた方がいいと思うのだけどね。雑誌に限らず、書籍、さらには新聞なども合わせて。

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このページは、不破雷蔵が2015年11月15日 08:00に書いた記事です。

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