2015年度の印刷物販売は1.6兆円を割ったらしい

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今年1年間に国内で出版された書籍と雑誌の販売額が、前年より約5%減の1兆5200億円程度にとどまり、過去最大の落ち込みとなる見通しであることが28日、出版科学研究所(東京)の調べで分かった。お笑い芸人、又吉直樹さんの芥川賞受賞作「火花」などの大ベストセラーもあり、書籍は健闘したものの、雑誌の落ち込みが激しかった。少子化やスマートフォンの普及なども要因とみられ、出版不況の根深さが改めて浮き彫りになった格好だ。出版物の販売額が1兆6千億円を割り込むのは32年ぶりで、減少率は昨年の4・5%減を上回り、昭和25年の統計開始以来、最大となる見通し。

本家サイトで年一にて更新している「出版物販売額の実態」とは別ルートでの、印刷物販売動向の話。「出版物販売額の実態」では2014年度は1.6兆円、電子印刷分を合わせても1.75兆円だから、大体同じ値になる。まぁ、書籍は漸減、雑誌は急減、結果として全体では結構な落ち込みってのはここ数年来のパターンであり、2015年が急激に落ちたわけではない。消費税引き上げ以降文庫が云々ってあるけれど、相関関係はともかく因果関係はどうなんだろう。文庫の需要層って結構スマホ利用者と被ってないかな? 雑誌の減退はまさにスマホをはじめとしたネット媒体によるものだろうけど。

記事の各種値は12月25日に出版科学研究所から発行の「出版月報 2015年12月号」の内容を元にしたものと思われます。同誌の公開概要には「2015年1~11月期の推定販売金額は書籍・雑誌合計で前年同期比5.2%減となった。これで11年連続のマイナス。落ち込み幅は過去最大の減少といわれた14年の4.5%減を大きく上回った」とあり、内容的に一致します。また日販の『出版物販売額の実態』では出版物販売額の2014年度分は1.6兆円とあります。


出版物の販売額が減退中なのは事実ですが、同時に電子出版物の浸透は進んでおり、ウェブ上の文章を読む機会も増えています。所謂本離れ、文章離れが進んでいるわけではありません。「読む媒体」の選択肢が増えただけの話です。

他方、電子出版分を加算しても出版物の販売額は減少中(2014年度で1.75兆円、前年度比-2.5%)。効果的なビジネスモデルの創生が待たれます。


......とは、コメントした内容。要は読者が減った、読書量が減ったわけでは無く、読む媒体が多様化しただけの話。他方、無料で読める機会も増えているので、電子まで含めた売上試算でも、漸減していることに変わりは無く(【出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる(番外編:電子出版独自追加版)】)。

該当記事のコメントに目を通したけれど、雑誌が詰まらなくなった、対価を支払うだけのものではなくなったとの意見が多い。これは本当に質が劣化したのか、スマホ等で見る・読む機会が増えたので相対的に低品質扱いを受けるようになったのか。どちらなのだろうか。無論、対価支払いに関する価値観そのものの変化も一因なのだろうけど。

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このページは、不破雷蔵が2015年12月30日 07:16に書いた記事です。

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