新聞って本当に「低所得者の生活必需品」で「多くの人が、日々の生活の中で必要な情報を得るために、毎日読むもの」なのだろうか

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その新聞は、「定期購読契約が締結された日々、または隔日、すなわち1日おきで発行されるもの」とされた。新聞を対象とした理由として、「低所得者の生活必需品への負担軽減」を挙げ、「新聞」は、「多くの人が、日々の生活の中で必要な情報を得るために、毎日読むもの」と指摘している。

一時期は宅配率を元にガイドラインを引くのではとの話もあり、ならば宅配率を厳密に算出するため、いわゆる「押し紙」問題に絡んだ配送業者への押し付け紙周りも一気に解決の方向に......という期待もあったのだけど、それは無かったようでちょっと残念(「実際に世帯に届いた割合を示す宅配率」と、「『配送業者に卸した部数』と『世帯数』から算出される宅配率」は別物だからね)。

で、【新聞への軽減税率の件、やっぱりエゴイズムと見栄、矜持なのだろうね】でも指摘したけど、そもそも月80円位の差異で新聞の購読是非を決めざるを得ない低所得者は、生活必需品として新聞を対象にはしていない、すでに新聞の定期購読はしていないケースが容易に想像できるあたり、ハリボテですらない大義名分ってのが良くわかる。

総務省の家計調査をざっと見た限りでも、むしろ高所得世帯の方が新聞の定期購読率は上。勤労者・夫婦世帯では年収200万未満なら43%、1500万円以上なら94%。つまり低所得層への配慮は月80円でしかなく、しかもそれをカバーできるのは4割。ところが高所得層ならほぼすべてがカバーされてしまう。無論80円における対収入比率はまた別物だろうけど。

むしろ先日【「負担が増えているので携帯電話の料金安くならないかしら」とその内情】などでも指摘の通り、生活必需品度がアップしているのが大きな要因となっている携帯電話の料金に関してでないと、「低所得者の生活必需品」なる説明は通りにくい。ちなみに同じ家計調査によれば移動電話通信料の利用率、つまり携帯電話料金を支払っている世帯は、二人以上世帯において年収200万未満なら72%、1500万円以上なら89%との値が出ている。

まぁ、携帯料金がインフラに対するものであり、新聞はインフラというよりは情報発信企業に対するものだから、当事者による「対象にしろ」の意見の声の大きさが違うってのは理解できるけどさ。ちなみに、新聞社側はずっと前から大声を上げていたので「適用という名のエサを与えて新聞社を黙らせた」的な陰謀論は通りにくい。同じ陰謀論なら「適用させないともっとひどいこと書くぞ」的なプレッシャーをかけた云々って方がまだ通りやすい。


無理を通して道理を引っ込ませる。その無理を通そうとしたのは誰かな、という辺りまで考える際には「新聞への軽減税率適用を」との語り、主張、圧力はどの界隈から、いつごろからについて考えると分かりやすいんじゃないかな。

今件で「でも適用しないと新聞死んじゃうんでしょ? 新聞の一次ソースって大事でしょ?」というご意見を頂く。この辺りも詭弁的な話に惑わされているものでしかない。2%プラスの適用で新聞が滅びるのなら、これまで4回滅んでいる計算になる。加えて、いちどきに全新聞社が無くなる状況は考えにくい。他のどのような界隈でも、業界全体が苦しくなることはある。その時は体力の無いものが淘汰され、残りがその淘汰された部分を吸収する、市場の開いた部分を確保して体力をつけていく。その自然淘汰、弱肉強食の条件が一つ加わっただけ。

そもそもそのような他の企業、市場における淘汰が起きた時、新聞社はどのような姿勢を示していたのか。自分の所だけ「保護して守って例外認めて」では筋が通らないと思うのだけどね。


結局結論としては、こういうことなんだろうなあ、と。それもまた「文化」だと主張するのなら、それはそれで構わないのだけど。

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このページは、不破雷蔵が2015年12月16日 07:04に書いた記事です。

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