続いてほしい作品と、その願いをかなえるためにできる行動と

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供給過多や趣味趣向の多様化に伴う単独作品への需要数の低下など、理由は多様に及ぶのだろうけど、例えばコミック誌やアニメ作品における商品購入アピールの仕方が、これまでとは少々変わってきた雰囲気がある。もちろん媒体そのものがそれを可能とするようになったのも一因。

ただ、「円盤(作品が収録されたDVDやBD)の数が一定数売れないと続編が出ない」「ウェブ版の連載は一度終了。作品を収録した紙媒体の単行本のセールス次第でウェブ連載が再開」的といった、あからさまな交換条件的な文言をよく見かけるようになったのは否定できない。実際、ネットや専門誌での評判は良いのに、円盤や関連商品のセールスが今一つとなり、続編が出なかった事例は数多くある。

余程の慈善事業でなければ、お金が無ければビジネスは廻らないのだから、仕方がないのは分かるのだけど、円盤や単行本の購入では今一つ「後押し感」が実感できないってのも、なんだかすっきりこない人がいる一因ではないかな(寄付行為における「具体的成果が無いとモチベーションは上がらない」と同じかな)。「応援すればそれでいい」ってのも、指摘の通り「無限に沸いてくるものから切り分けするのだから的な考え程度であることを、周囲も見透かしている」ところもあるので、考えさせられる。

上ではキックスターターを挙げているけれど、例えば神社のように「願いがかなうように」とお賽銭箱に寄進した小銭ではなく、まとまった額を直接神社に奉納して、柱の部分などに名前を刻んでもらえるような、そんな感じの確実性のあるものの選択肢も求められているのかも。初音ミク周りではすでに実践されているようだけどね。

まぁ、運用会社の株式を十分以上に購入して、株主の意見でってのも手立てとしてはあるけれど、一般の人にはそれは無理だからなあ......。バンダイとかKADOKAWAの株式を数十%取得すれば作品の一つや二つ位は動かせるだろうけど、それだけの資金があるのなら直接支援した方がいいってことになる。


最近流行のフィルムのカット提供ってのも一つの手立て。まぁ、劇場でのみ調達できるパンフレットもそうなのかな。家庭用ゲーム機のソフトにおける、一時期流行った限定盤の嵐も、方法論模索の一つの手立てだったのかも。

作品を作る、送り出す側がビジネス的な話、金銭的な事情を語るのは、正直上策では無い。その類の話を好きでない人もいるし、現実感のある世界に引き戻してしまう。ただ、他方で霞を食べて、あるいは「お金は国が出してくれる」的な状態でも無いのも事実。本来なら発信側も受信側も暗黙の了解でその辺は分かっていて、双方が黙っていても相応の関係が構築され、金銭的にも問題の無い状況が創られ続ければ問題はないのだけどね。

さらにいえば、悪しき考えが無い限り、創り手側に金銭的な余裕があれば、作品の続編だけでなく品質の向上や発展的な作品展開など、可能性は色々と開けてくる。何しろお金ってのは、多種多様なリソースが数量的な指標として形を変えた万能アイテムみたいなものだから。

フリーミアム的な概念が変な形で広がったこともあり、創作行為に関する金銭の取得方法が難しくなったことは否めない。もちろん多種多様な方法が生まれ(上記のキックスターターもしかり)、新たな時代に対応する模索もなされているけれど。

「もう少し上手な方法があれば、金銭的に支えられるだけの価値はあったはずなのに、その方法論で上手くいかなかったために、命運を断たれてしまった」雰囲気のある作品を目にするたびに、色々と考えてしまう次第。まぁ、見方を変えると「その作品は今の世の中では、ビジネス的に成り立たないと世間から判断された。それだけの話」と解釈することもできるのだけど。

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このページは、不破雷蔵が2015年12月23日 08:22に書いた記事です。

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