「爆買いされるから万引きを許容しよう」はコストでは無い

| コメント(0)
一例を挙げてみましょう。当然ですが、万引きは犯罪ですよね。もちろんどの国でもそれには違いないのですが、「お店の棚に商品が100個あれば100個すべてが残っている」という考えは当たり前ではなく、「100個あったら2、3個万引きされても仕方ない」というようにとらえる国の人もいます。


これはあくまで極端な例ですが、外国人観光客が日本で行う行動を「けしからん」と言って何でもかんでも排除すると、需要も取り込めなくなる。そう考えると、「彼らの行動をどこまで許容するか」ということに焦点を当てた対策を考える必要も出てくるわけです。もちろん、悪質な万引きは取り締まらないといけませんが、ゼロにするのではなくある程度の万引きを想定した仕組みも必要だということです。


いわゆる「爆買い」にからんだ話。お客様だし社会常識が違うのだから、万引きされても仕方がない、それを許容しないと対応はできない、想定した仕組みも必要という話。人数増加に伴うシステムの強化や環境整備はともかく、万引きという名の窃盗行為を「お客側の社会文化だから」として容認するという話は、いくつかの点で間違っているし失礼でもある。

まず「爆買い」に関して語っている以上、特定の対象国への言及であることに他ならず、その上で「100個あったら2、3個万引きされても仕方ない」と述べているのは、その国では窃盗は当たり前だと説明していることになる。それはどうなのだろう。

そして仮に窃盗行為に関して日本と比べて緩やかな社会常識があるとしても、「郷に入りては郷に従え」が基本。実際、「爆買い」をしている人に対し、日本の慣習やルール、法律をしっかりと説明すればそれに従う、単に情報が無いから色々と問題を起こしてしまうだけの話との指摘は、何度となく耳にしている。


問題は他にも多々あって、指摘の通り「割れ窓理論」(犯罪行為の類は、許容された環境から随時悪化していく。駅前の自転車のかごに空き缶を1つ入れておくと、そこに次々とゴミが放り込まれるようなもの)、利益率の問題など、色々とおかしな、常識外れの論拠を展開している。今件は「100個売れるのなら2、3個は万引きされても利益がでるように、それをコストの前提として」では無く、「利益の一部をオマケ的な商品として考え、100個まとめて買ったら1つか2つぐらいはオマケとして余計につけても利益がでるように、それをコストの前提として」と語らねばならない。イレギュラーな損失は必ず発生するから、その分は計上しなきゃならないのは当然だけど、それはどのようなビジネスにおいても同様の話。

何となく数年前の「サイレント・マジョリティー」的な雰囲気があるのだよね、今件に関しては。「先を読め」どころか「明後日の方向を読め」にしか見えないのだけど。

関連記事             

コメントする

            
Powered by Movable Type 4.27-ja
Garbagenews.com

この記事について

このページは、不破雷蔵が2015年12月25日 07:37に書いた記事です。

ひとつ前の記事は「作り手は「テレビ消そう」、読み手は「礼拝堂が更地になってた」的な感じ」です。

次の記事は「街中での大戦車戦、キックスターターでよみがえるか...「TOKYO WARFARE」の受付開始」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

* * * * * * * * * * * * * *


2021年6月

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30