風力の発電能力、初めて原発抜く コスト減、普及後押し(朝日新聞デジタル) https://t.co/twIMFYh9xP 「発電能力」であって「発電量」ではない事、稼働率や安定性等からメイン電源にはなり得ない事が重要ですね。 pic.twitter.com/fFbNZ3NjcM
— 不破雷蔵(懐中時計) (@Fuwarin) 2015, 12月 29
風が吹く時にだけ発電する風力は稼働率が30%程度で、80%近い原発に比べ実際の発電量は約3分の1程度とみられる。
......ということでパッと見だと「すげぇ、世界全体で風力発電だけで原発超えるじゃん」的な印象を有してしまう記事ではあるのだけど。色々な意味で「またあさ」的な感は否めない。
自然エネルギー系の発電形態では押し並べていえる話ではあるのだけど、「発電能力」は「期待発電力」とは別物なんだよね。例えば10万kWの能力を持つ火力発電所は、メンテ期間を除けば管理側の思惑の通りに10万kW/hの電力量を創生できる。ところが風力発電ではそうもいかない。同じ10万kWの能力を持っている風力発電所が、その能力を発揮して10万kW/hの電力量を創生できるのは滅多にないし、管理側の思惑通りにはならない。言うことをとてもよく聞くペットの犬と、滅多になつかない近所の地域猫との違いみたいな感じ。
仮に該当する風力発電所が、海外の峡谷のように常に一定方向に風が吹くような場所にあれば、それなりに高い発電力を期待できるかもしれないけれど、日本の場合はそのような適切な場所はあまりない。実際、今冬の電力見込みの試算表を観ても、風力発電は過去のデータで、出力は能力=設備容量の数%との実績が出ている。
しかも発電そのものが不安定。そのようなエネルギーを安定供給の公的ラインに載せるのは、本当は根本的な観点で間違っているんだよね。いつ出社するか分からない板前をいくら雇っても、日々営業している飲食店は開けないってこと。だから本来、太陽光なり風力発電は個人世帯、あるいは集団住宅ベース、よくて集落単位で用い、常用のインフラとして供給される従来の電力のサポートとして役立ってもらうのが、実は一番適していたりする。
その辺りもほとんど触れずに、単に能力が云々ってタイトルに挙げて喧伝するのは、単なるプロパガンダか、それとも羊頭狗肉か......いずれにしても、報道としての記事なら、評価は低いものとして認識せざるを得ない。
コメントする