良いものを作っても売れるとは限らない。単に売れる可能性のチップを1枚積み増しただけ

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先日の【ノートが大きな方眼紙になる「方眼NOTE」という存在、そしてマッチングの大切さ】でも触れたお話。商品やサービスそのものが大変高品質、あるいはパフォーマンスの高いもので、創った本人や知っている人は「なぜこれが売れないのだろう、ヒットしないのだろう」と首を傾げるばかりなんだけど、ふとしたきっかけで多数に周知されることとなり、大ヒットにいたったという事例はそこかしこにある。当然同数、いやもっとそれ以上に、当事者界隈で良いものと認識しているにも関わらず、それが鳴かず飛ばずで「なぜ売れない? こんな良いものなのに」と首を傾げる事例も少なくない。このパターンは、技術系の展示会でよく見かけることができる。高技術、高品質の商品ではあるのだけど、周知が不足していて商品市場が小さいものとなってしまう。

「本当に良いものなら、黙っていても口コミで広まるはず」。まぁ、それは事実の一つではある。けれど、広まるまでの過程ですら省略したのでは、状況が動くはずもない。呼び水がなければ水は来ないし、燃やす素材と火種が無ければキャンプファイアーはできない。

結局のところ、良い商品、サービスを作るというのは、商売として成功するための一要素でしかない。たくさんの人に手にとってもらい、購入使用してもらうためには、まずは多くの人にその存在を知ってもらう必要がある。その上ではじめて、良い商品ならば、購入の是非の判断の際に多くの人がイエスの旗を上げることになる。普段は誰も来ないような山奥に素晴らしい料理を作る料理人がレストランを開いても、その存在に気が付く人がいなければ、お客は入り様がない。

存在を知ってもらい、その上で良い商品(単に商品の品質が良いか否かに加え、来訪労力なども合わせた総合的なコストパフォーマンスも合わせて算段)か否かを判断し、そして購入するかどうかを決めてもらう。良い商品を創ろうという意気込みが強すぎると、つい「他人に知ってもらう」方法をおざなりにしてしまう。

単に芸術品として残しておけばよい、ビジネスは二の次ならば周知云々はあまり気にしなくてもいいのだけど。商品売買のプロセスとして、お客側は知り、確かめ、判断し、購入するのステップを踏んでいくことを再確認する必要はある。いきなり購入とか、最初から知っていて判断するってのは有り得ないからね。まぁ、創り手側は当然商品を知っているので、最初の「知る」を見過ごしてしまいがちなんだけどね。

まぁぶっちゃけると、10人見れば1人が買うであろう良い商品も、50人しか見なかったら5つしか売れない。でも100人見てはじめて1人が買う商品でも、100万人が見れば1万個は売れるんだよね。そういうこと。

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このページは、不破雷蔵が2016年1月10日 07:39に書いた記事です。

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